①社長→②事業部長→③部長→④課長→⑤課員 どこで示した内容が消えてしまっているのでしょうか。
考察してみると、そこから見えてくるものは、組織の根幹ともいえるものは、老巨木に成長し太い根が張った「組織風土」にあることがわかります。
それは、次のようなポイントに整理するとできます。
自分がやらなくても、誰かがやってくれるし(会社は今まで通り存在し続ける)、たとえやったとしても大勢に影響はないし何も変わらない。
やるだけ無駄な労力を使ってしまうと考えてしまう。
会社における日常はこれからも変わることはなく、「流れに合わせておけば、自分は大丈夫」いという考え方が、暗黙の了解とする雰囲気が会社全体に広がり潜在している。
ルーチン的な仕事をこなしていれば、なんとか生きていける会社だし、言うほど変化もしないと考えているため、あえて、信頼できない幹部の話を吸い込む必要はないという風潮があります。
実態が変わるまでやろうという意志が希薄です。
目立って、癖の悪い人に毎日やられたら損だし、そんな要領が悪く運が悪い人にはなりたくない。
「やるか」、「やらないか」の2択で考えてしまい、やれば苦労するし敵を作る、だからやっても損だという軸で物事を捉えています。
やっても変わらいないと考えているので、今の状態の維持をしようとしてしまいます。
このような2択での選択は、自動的に視野を狭めてしまい正常性のバイアスと確証のバイアスに陥ることになります。
(※1):自分にとって都合の悪い情報を受け入れず、「自分だけは大丈夫」、
「今回も大丈夫」と心の平静を維持しようとすること
(※2):自分が正しいと思ったことを肯定する情報だけを信じ、否定する情
報を避けたり無視すること
直接自分に命じられたことは、一心不乱に行う。また、今までの指示事項の多くも短期的で単一な内容が多く、中長期的で進める内容は少ない状況でした。
中・長期的な視野・視点で態勢や制度を構築されておらず、会社全体を俯瞰するような視点を持っている人が少なく、中・長期的な内容が伝えられることはほとんどない状態です。
長い間に出来上がった会社の組織風土は、例えばA事業部は思った以上に仲が良く住みやすいといったように長所としてプラスに現れることがあります。
一方、事業部、部、課で自分の組織が良ければ他は関係ない、個人商店化が進んだ個人に至るまで、自分以外は関係ないというマイナス部分を強烈に形作しています。
自分に関係のない全般的な内容は、ほとんど伝えることはないし、伝わらない状態です。
個人商店の状態で、運よく優良な企業を担当し、市況が好調なため売り上げを伸ばし、課長・部長に昇格した社員は、マネジメント能力が欠落しているか、その能力が極めて低い。
人材育成をしてきていないため、情報の共有ができず、コミュニケーションによる意思の疎通がなされず、組織が一つのベクトルに向かって進む環境ではありません。
自分のステイタスを維持するために、良質の情報を隠し、教えず自己保身の傾向があります。
会議の概要をそのまま伝えるだけの下痢方式のため、部下が理解できるように伝えていない。
それぞれの立場、地位・役割で噛み砕いていないので、単なる会議後の形式的な伝達の場にしかなっていません。
例えば、月初めの朝礼で、経営会議の話を「…ということがあり、皆さんよく考えて行動してもらいたい」と説明しただけの状態であり、そのため、部署として何を重視するのか、皆でどうするのかという内容が欠落した状態で示されています。
受け取り手の部長・課長が内容を理解しておらず、部下へ何を伝え何をすべきかについても理解が浅いため、部下の心に浸透する指示ができません。
そのため、部長・課長は、自分の組織に対する直接的な指示事項以外は、従来通り伝達する程度となります。
何故指示されたことをしなければならないか、その目的について理解し、自分の組織がどのように行動すればいいのか考えないと表面的なものになってしまいます。
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