本書は、ロシアによるウクライナへの侵攻後、防衛態勢をとっていたウクライナが、有事における戦力造成を成し遂げ反転攻勢を行った2022年11月までの戦いについて、陸上自衛隊で養った「有事における戦力の造成」「大部隊の運用」「戦術」に基づき解説をしたものです。
軍隊は、平時から多くを保持しておくことが国土防衛上重要なことですが、一方で、若い労働力が軍隊での勤務を行うことにより、経済に大きな制約を与えます。
そのため、平時での軍隊の戦力を必要最小限に抑える態勢をとりつつ、有事戦力造成を行い、国土防衛に必要な戦力を確保する態勢をとっています。
ロシアの動員50万人と人員の量的なことはメディアで取り上げられ、解説されることはありますが、戦力の量と質を確保しながら行う戦力造成の要領については、ほとんど語られることはありません。
各国は、常備兵力による安全を確保する態勢をとるとともに、予備兵力の確保、有事の戦力造成を平時から準備することによって、国土防衛を確実なものにします。
本書では、ウクライナの戦力造成要領と戦力が充実するにつれて戦場の主導権を握り始め、遂には反転攻勢するまでの内容を記述しています。
ロシアによるウクライナ侵攻が、日本国民の意識を変え、中国による台湾侵攻、北朝鮮、ロシアの動向が、今そこにある危機であり、我が国の防衛に直接関係すること、多くの教訓を得られること、国土防衛の態勢を改善する方向などを認識して頂ければ幸いです。