ウクライナ紛争に見る戦い方の変化

ウクライナ紛争に見る戦い方の変化

 

 2022年2月24日ロシアが、ウクライナへ侵攻を開始してから間もなく1年が経とうとしています。 

 この1年間で、戦い方は変化しましたが、大部隊同士の戦いにおける兵站の重要性は変わりませんでした。

 戦い方の変化は、無人機とドローンの登場によって、戦場偵察、火力誘導、攻撃、自爆が行なわれるようになり、目標情報に対する正確な砲迫射撃の指向と効果の確認が行われ、その映像までが公開されるようになりました。

 小型ドローンの攻撃は、改良が進み正確性が増しています。

 戦車や歩兵戦闘車の空いたハッチの中や塹壕内のロシア兵へ直撃弾に近い状態で命中させることができるようになりました。

 自爆ドローンも運用機数が増加してきました。

 対空ミサイルで撃墜する場合、ドローンの価格に比して、高いミサイルを使用しなければ、現在破壊することが難しい状態になっています。

 低空域は、ドローンが飛び回る空域になってきました。

 自衛隊でも、各種ドローンを運用できる部隊、ドローンを撃墜、無力化する部隊の必要性が増しています。

 変わらないのは、兵站部隊の重要性です。兵站部隊が破壊されれば、前線部隊への補給が制約され、戦力発揮ができなくなります。

 このような激しい砲撃戦では、弾薬の占める割合は90%を超えます。

 1万人規模の師団に対する1日の補給量は、約3000トンになります。

 5トン積載のトラックが600両必要な量です。兵站物資の補給は、通常航空攻撃を避けるため、夜間に行われます。

 弾薬輸送のトラックが夜間数多く動いていることがわかります。

 兵站部隊と施設に対する攻撃は、大きな変化があります。

 以前は、戦車などの地上部隊が奥深く機動することによって破壊するか、航空優勢を獲得して空爆を行うことが有効でしたが、HIMARSなど、長距離精密誘導ロケットや誘導砲弾が現れ、ロシアの兵站を正確に破壊しています。

 砲兵火力による正確な砲撃が中心となり、以前とは狙われる危険性は、雲泥の差です。

 併せて、特殊部隊や国内破壊活動などを行う組織による破壊活動も行われるようになりました。

 後方は安全であるという神話はなくなり、後方から破壊していくという状態に変わりました。

 また、機会を見つけて、ウクライナ情勢を考えたいと思います。

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