民間と自衛隊組織の違いはどこにあるか

民間と自衛隊組織の違いはどこにあるか

 自衛隊へ講話した時に隊員の方から、「民間と自衛隊組織との違いをどのように感じているか」という質問を頂きます。

 自衛隊を退官後、民間企業で勤務しているので興味深いものがあるからだと思います。

 民間企業の人達と仕事をしていると、自衛官のメンバーの純粋さと、すぐに切り替えて進めていこうとする迅速性を感じます。

 外の世界と隔たれているというマイナス面も色々指摘されますが、純粋さは、人を信じ仲間を信じて進んでいこうという組織風土ができています。

 戦闘は、各職種(兵種)と常に協同して進めていくため、仲間との連携意識、初めてでも作戦に関わるメンバー・部隊との協調は、できており、調整も具体的に進んでいきます。

 このことは、長年培って作り上げてきた宝物です。

 仲間意識や同期の絆が深くなりやすい組織風土があるため、人生の真の友人が作りやすい組織でもあります。

 このような素晴らしさが自衛隊組織にはあります。

 自衛隊員にとっては、あまりに当たり前すぎることのため、そこが違うのですかと驚くかもしれません。

 自衛隊も一般社会の中で存在しているため、一般社会の縮図として共通した傾向は当然あります。

 一方、純粋な状態で勤務をしているところや組織で仕事をする戦闘組織としての組織文化を有していることから、一般社会とは異なる独特なところがあります。

 定年が一般企業よりも早いので、40歳の半ばを過ぎると、定年までもう10年もないので自衛隊人生は終わりが近くなっているなと感じる隊員が多いというところです。

 自衛隊の下士官である曹の人たちは、現場において背中で引っ張ってきた人間がほとんどのため、体力が低下し始める40代になるともうやることはやったので、あとは今まで培ったノウハウで生きていくと自衛隊は終わりだなと感じる人が多いところです。

 一般企業であれば、すでに65歳まで仕事ができる態勢が整っているのですが、自衛隊の下士官は50半ばが定年の時期であるからです。

 一般企業の人よりも、若くまだこれから活躍できる年代であっても、定年を意識し始めてしまうのです。

 その分、人間的成長が鈍化してしまったり、今までのノウハウでという考えになってしまうと、新たなことへチャレンジをしなくなり、成長をしません。

 その状態は、現状維持ではなく、時代が変化していても関係なく行動するだけであるため劣化している状態といえます。

 幹部は部隊を運用する立場にいるので、体力勝負ではないところもあることから、50代に入ったところで同じような状態になる人がいます。

 短期間に変化の大きい環境の中、昔取った杵柄しか自分の実力がない人材では、第一線でバリバリ活躍することは難しい時代です。

 今の時代に一昔前の知識と経験で対応しようとしても、環境の変化が早ければ早いほど、その経験値では通用することは難しく、ただ単に組織にぶら下がっているだけの傾向が強くなります。

 しかし、自己を成長させる意思を持ち、もう一度雑巾がけをすれば、まだ十分活躍できるのにしない人も多いのが実際の状況です。

 共通しているところは、柔軟な心と深い懐を持っているタイプや明るくやり切ることのできるタイプは、自衛隊も一般企業であっても、共通して活躍する人材です。

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