オオクワガタデータ飼育 -檜枝岐で採集したメスの善し悪し-

オオクワガタデータ飼育 -檜枝岐で採集したメスの善し悪し-

 

 

灯下採集ではほとんどメス

 

檜枝岐の灯下採集では、水銀灯や自動販売の光に集まるクワガタを狙います。メスはオスに比して飛行性能が高いため、ゲットするオオクワガタはほぼ100%メスです。オオクワガタは、ブナミズナラ帯では、雪が積もらないような高い場所へ産卵する傾向が高く、最低60㎝以上の直径の高い場所が朽ち木割のポイントになってしまいなかなか思うように朽木割りができません。

また、ブナミズナラはあまり樹液の出ない木であり、大木が生えている一次林は森が深く急斜面が多いので、樹液採集も難ため、灯下・灯火採集が中心となります。

 

 

小さいメスの卵の累代飼育

 

よく採れるメスの大きさは37㎜が多く、水銀灯の光の中を捜していると、コツンと音が後ろでしたので振り返ると、時には34㎜という可愛いメスが微笑んでくれます。

37㎜程度の小さいメスの卵は小さく、F1のため非常にばらついた子供が出てきます。

大きさも出にくいとほぼ言い切れます。

ブナミズナラ帯のあまり栄養価の高くない朽木で育ったオオクワガタは、オスもメスのように羽に縦の線が入っているような可愛い大きさになります。

もう、少し寒さを感じる頃、水銀灯や電気の下はコオロギだらけの状態で、見つけたらオオクワガタという時期になると、大型メスの採集の可能性が高まります。

白い息を吐きながら、こんな状況で甲虫入るのかと少し寂しい気持ちになっていると、カブトムシのメスの小型のような甲虫がいて近づいてみると47~48㎜のオオクワガタのメスに見えるほどの大型を採集できます。

光の中ではどうしても大きく見えてしまい、体長を測ると43㎜だとわかります。

栄養価の低い環境の中でほとんどのメスが37㎜以下になる中、43㎜とブナミズナラ帯の自然界では破格の大きさに成長したオオクワガタのメスは、非常に大型になる遺伝子を持つていると考えてもいいと思います。

マット飼育で77㎜のオスクラスの全てが、43㎜クラスのメスの累代飼育で得られています。このため、よく9月の初旬に採集へ行きました。

 

 

獰猛な顔のメス

 

自然界の43㎜のメスの顔は、二つの突起が大きく盛り上がるように出ていて、顎も太めで獰猛な顔をしています。

顔だけ見ても、大型になる要素を十分に持っていることがわかります。

二つの隆起した突起は、累代飼育をしていくと少しずつなだらかに平らになっていきます。メスの判別を顔でしてみることをお薦めします。

 

 

43ミリを超すメスの累代飼育

 

大型の優性遺伝が子供にしっかり伝わり、2年ほど累代を繰り返すと独特の形に固定できるようになります。ブナミズナラ帯で採集したメスは、大きさだけでいい種親であると判断できます。
種親の重要性について、多くの本などで強調されていますが、長年のデータからもその通りの結果が出ています。

37㎜クラスのメスのF1を累代飼育するポイントは、ばらつきの大きいF1の数少ない優性遺伝をしているオスとメスを見分けて累代飼育をすることがとても重要となります。

採集によって得たメスは、50頭に1頭程度が種親に適する確率のため、飼育のみを考えるならば少し奮発していい種親を購入するほうがリーズナブルといえますが、自分で採集したオオクワガタから良形のオオクワガタを作り出すことは、オオクワガタへの限りないロマンの追求と魅力的で、楽しさ満載です。

 

 
 

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天然オオクワガタを求めて-山梨県韮崎一帯オオクワガタ採集記-
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かつてのオオクワガタ有名産地、山梨県韮崎一帯で天然のオオクワガタを求めた採集記が完成しました。本書は、「1年を通じた採集記」、「採集幼虫のその後」、そして、「20年前同じ場所で体験した採集記録(加筆)」の3部で構成されています。

 

 

 

 

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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
 読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界

 

 

オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
 オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
 本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

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1 Comments

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