今から25年前オオクワガタブームが始まり、黒いダイヤとして1頭100万円という価値がついた時代、クワガタ業者や愛好家が山梨県、兵庫県、福岡・佐賀県、そして福島県へ押し寄せました。檜枝岐村では採集したオオクワガタを繁殖して、夢の70㎜オーバーのオスを育てようと静かな村に日が暮れると採集に来た人達の車が走りまわる状態になります。
まだ、飼育技術も十分確立しておらず、オオクワガタ自体手にすることが難しかったので、1頭採集できれば、日当が出てしまうほどの価値がありました。
檜枝岐村は、尾瀬の北の入り口であり、奥深い山中に存在する秘境といわれる地ですが、関東や他地域の車が月令のいい日にはドッと押し寄せ、水銀灯や自動販売機前の採集場所の陣取りをしていざこざが起こるほどです。
発電機を回して強力なライトを照らす要領も確立していないので、灯下採集が基本でした。
有名な水銀灯には、長い柄の虫取り網を持って待機し、落ちる前に採集しようと大の大人が何人も網を振って甲虫の取り合いをしている状態です。
そんな状態ですが、オオクワガタ好きは共通しているのか、長い柄の網を振り回しながら競い合いながらもオオクワガタを採集した人は、競り合った人達にどんなオオクワガタが採れたか見せて、ニコニコしながら皆でオオクワガタ談義を楽しむという面白い光景もありました。
檜枝岐は、その当時朝日とともに起床をして生活が 始まり、夜の8時頃には雨戸を閉めてしまうので一帯は静かで暗い状態になります。
最初の3年ほどは自動販売機の光が通常に設定されているので、何もない真っ暗な世界を運転していると自動販売機で目がくらんでしまうほど眩しい状態です。
喉が渇いて、自動販売機でジュースを買おうとしても自動販売機全体に蛾と羽蟻がビッシリ付いているのと、周りに虫が飛びまわっていて買う気にならない状態です。
山から川に注ぐ綺麗で水量のある用水路が多く、夜は水の音しか聞こえないところです。
八月に水銀灯や明かりの前を車で走ると羽蟻の絨毯を跳ね上げながら運転する感じで、採集後は車体の下をしっかり洗車しないとならないほどの羽蟻の量です。
木をカンカンと叩きながら、「火の用心」と言いながら村一帯をの見回りをしている人と会うと、「何をしているのですか」と聞かれ、「クワガタ採集をしに東京から休みをとって来ました」と答えると、なんで東京からはるばる山深い秘境へ大の大人がクワガタ採りに来たのか不思議という感じで見られました。
最近は家を建替えたり、20年以上経過して世代が変わり始めて夜型の生活も増え夜遅くまで電気が付いています。
檜枝岐で過ごして東京に帰ってくると首都圏は無駄に明る過ぎると感じるほど檜枝岐の当初の真っ暗な感じから、やや暗いかなという程度に変化してきました。
反対に、この5年ぐらいは急激に採集者が多く集まる明かりの照度が落とされたり、撤去されてきてポイント自体が減少しています。
夜間に車を止めて採集しようと下車してドアを閉める音がうるさかったり、マナーの悪い採集者がいたりしたせいか、優しさの溢れていた地域全体の雰囲気から採集しにくい雰囲気に少しずつ変わってきています。
真夏においても、夜は14℃まで下がるので、上着がほしい程身体が冷えます。キリンテのバンガローで宿泊する時は、蒲団をしっかり掛けていないと寒くて寝れません。
早朝散歩をするとテントでキャンプをしている人達は、ダウンを着ていたのが印象的です。8月の中旬過ぎると寒さとともに、湿度が高くなり少しジトっとする感じになり、羽蟻が大量発生するので水銀灯の近くで白や黄色の服を着ていると羽蟻だらけになります。
朝の7時を過ぎると太陽の温かさから夏の暑さに少しずつ変化していきます。子供達と水遊びで川の中で泳ごうとすると、水は雪解け水のように冷たく長い間入っていることができないほどです。
避暑地として、最高の場所檜枝岐は、夏になると行きたくて仕方がなくなる自然豊かな土地です。
雨は、山の天気のため、思った以上によく降ります。ただし、局地的な降雨の特性から、ポイントを5~10㎞程度移動すると降っておらず採集を継続できます。
檜枝岐村付近では、しっかり雨が降ると小型のサンショウウオがぞろぞろ出てきたりするところもあり、初めての時は、衝撃的でした。お店屋さんでも当時サンショウウオの串焼きが売られていたのを覚えています。
檜枝岐に行った当初、水銀灯の下は、地面1メートルから上は、水銀灯を三角錐の頂点として多数の蛾が渦を巻くほど多く飛んでいる状態で、家内は燐紛が落ちる感じだといい、麦わら帽子をかぶって子供達と灯下採集をするほどでした。
現在の檜枝岐には、この光景はもうありません。
一般のクワガタやカブトムシは、見つけた数をカウントするだけで採りませんが、カウント数が毎年減少しています。便利になった分、少しずつ自然も消えていくものだなと感じます。
檜枝岐付近独特の自然が深いところで味わえる、香りは今でも健在です。いつまでも自然豊かな檜枝岐と毎年の夏出会い続けたいと思います。
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。
そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。
オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。
オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。