スカウトの世界、森の入口付近の歩き方 -気を抜くと痛い目にあいます-

スカウトの世界、森の入口付近の歩き方 -気を抜くと痛い目にあいます-

 

 

蛭(ヒル)はいつの間にか張り付いている

 

奈良県の大台ケ原一帯を踏破する山地機動訓練をするため、連隊の作戦情報を収集する部署にいる私は、何度も経路偵察のため深い山々に毎週入っていました。大台ケ原は、日本でも有数の雨の多い場所です。雨の中、けもの道を草木を払いながら歩いていると、半長靴の中までぐっしょり濡れてしまい、葉の裏についている蛭も時々落ちてくるので、暑くても戦闘服の袖をめくることができません。

 

少し開けた風通しのいい場所で休憩をとる時、半長靴を脱ぎズボンを脱いで蛭がついていないか調べます。痛みもなにもないので知らないうちに張り付いています。半長靴は編みあげ靴なので毒虫などが入りにくいようになっていますが、膝辺りについている蛭は何処から入ってきたかわかりませんが、雨が降った日の藪こぎの後は必ず点検する必要があります。

 

蛭は気持ち悪い存在ですが、自然のバロメーターなので素晴らしい自然がそこにあることを示しています。襟を立て、タオルかマフラーで首の回りを保護していていないと落ちてきた蛭に吸い付かれてしまいます。注意が必要です。

 

 

野つぼに注意

 

森の入り口付近に畑が多いと肥しを作っている「野つぼ」が道路の脇に柵もなく静かに存在しています。夜間、懐中電灯をつけ落ち着いた状態で歩く時は、ハマることはありません。よそ見をしていたり、寝ながら歩いていない限りは大丈夫ですが、突然はまる人がいます。

 

戦闘訓練をしていて敵に追われて、大急ぎで後退している小隊長が野つぼにドボッとはまり、そのあとを走っていた隊員の何人かも続けてハマりました。

強烈な臭いのため、敵は彼らに近づくことを止め、小隊長達は中隊主力の元へ戻ることができました。あまりにも凄い臭いのため、川で1時間以上洗い流してから、敵情について中隊長に報告する時、「ここに敵の小隊がいます」と地図を指さす人さし指から、黄色の滴がぽたぽた落ちた時、遂に激臭とともに我慢できなくなった中隊長が、「出ていけ」と叫んでいました。

 

最近少なくなりましたが、野つぼというものがあることを知っておいて下さい。

 

 

放牧用電線に注意

 

牛がいるような牧草地周辺や開けた歩き易いところを歩いている時、前を歩いていたメンバーが「ウォーなんだーきたー」といい大人が発してはならない声を出して反応しました。

「気をつけて下さい電流が流れています」と彼が言い指さす方向を見ると、牛が指定したエリアから出ないようにするためか、他の動物が入らないようにするために、触れるとビリビリくる低い電線が低鉄条網のように張られていました。

草に覆い隠されているので意識していないと電線に奇襲されます。慣れてくると夜でも太めの杭がやや目立つので回避できるようになりますが、電線に関する知識がなければ、夜間ほとんどの人が、いい大人がなかなか発しない声を出すと思います。

 

 

牛に追われたら

 

ホルスタインは、おとなしい牛だと思っていました。

夜間懐中電灯をつけて、草原で寝ているホルスタインの脇を抜けようと近づくとこちらを向いて、暗くて細部はわかりませんが、身体から「怒!」という空気が発せられていました。

13m~15m以内に近づくと、声を出しこれ以上近づくなと警告を発します。牛の警戒するエリアに入ると追いかけてきます。エリアから出ると速度をゆるめます。もう一つわかったことは、牛は直線に突進するので、林や木のあるところに逃げ込むとまったく追ってきません。

 

牛に追われたら、林や疎林へ逃げると有効です。

 
≪次のブログも参考にしてお楽しみください≫
 

任務を達成して生き残れる人の考え方と準備の仕方
気配を感じることはできるのか -水面にうつる月のごとく-
戦闘の参考になる映画「ハンテッド」
敵に見えない動きを追求する
カモフラージュ(スカウトのスト―キング)
森の中での歩き方
森の中での動き方

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成

 

 

 

 

 

【kindle本が出ました】

 

二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る

 

 

 

 

二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談

 

 

 

40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術

 

 

本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準

 

 

『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
 読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界

 

 

オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
 オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~

 

 

マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
 本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

関連記事紹介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です