防衛大学校では、陸・海・空自衛隊の相互理解、統合を進めるため、陸上自衛隊の第一線部隊、海上自衛隊の艦艇や航空自衛隊の基地研修があります。横須賀に所在する海上自衛隊研修時、セーラー服の隊員を見ながら、隊列を組んで桟橋に停泊している護衛艦へ向かいました。艦艇に乗り込む時、国旗と日章旗に敬礼を行い中に入ります。
護衛艦内の研修が始まり、食堂で艦内の配置について説明を受けている時、テーブルの上に掲げられている艦長統率方針「勝負は全て勝て」という言葉が目に飛び込んできました。
案内をしている海上自衛官の人に「勝負は全て勝たないといけないと艦長は皆に要求しているのですか」と聞くと、「その通りです。ポーカーをやっても、腕相撲をしても、訓練や射撃に至るまで全て勝負となったら、勝たなければならないと指導されています」と返ってきました。
勝負にこだわるこの艦長にとても興味が出てきて、是非とも会って話を聞いてみたくなります。艦長のイメージは、厳しく、ガッチリした身体の軍神のような人という感じで強そうな姿を想像しました。
艦長室の研修という機会があり、艦長に会えるかなと楽しみにしていましたが、艦長不在の艦長室で簡単な部屋の説明で終わり、少々がっかりしました。研修が終わり、食堂でコーヒーを飲みながら、質疑応答の時間を過ごしていると、やせ形の優しそうな幹部自衛官が食堂に入ってきました。
ピシッと空気が引き締まり、周りの海上自衛隊員は立ち上がり敬礼を素早くします。袖の階級章を見ると金の線が4本入っているのでこの人が艦長であることがわかりました。
やせ形の優しそうな艦長は、「若い諸君、何か質問はあるかな」と話すと、そろそろ研修終了の時間であることを付き添いの海上自衛官が告げても、「少しぐらいはいいだろう」と貴重な時間を作ってくれました。
艦長は、軍神タイプではなく、燃え上がるような勢いのある艦長とはかけ離れた、まったく逆の静かな青白い炎を感じる冷静なタイプの人です。
そして、優しそうな人柄の艦長から何故全て勝てという言葉が出るのか疑問が膨らみます。
私は、ここぞと手を挙げ「統率方針の勝負は全て勝てとは、何でも勝たないといけないと艦長は皆に要求しているのですか」と聞くと、「これから皆は、色々な経験をして上級幹部になってくが、部隊を引っ張っていくには一つの判断基準が必要となる。
統率方針とは、重要な任務を実施する時やどちらか選択しなければならなかったり、迷ってどちらを選ぶのか、重視するのかという時の判断基準であると考えている」、と話してくれました。
「勝負は全て勝てとは、我々の任務である国土防衛は日本の最後の砦てあり、我々の敗北イコール日本の存立の危機となる。戦いにおいて我々は負けを許されない。
そのため、勝負というものは勝たなければならない。そのために何をしなければならないか、どのように行動しなければならないか、常に考え実行できるようにしなければならない」
この考えを全員に示しているんだということを聞き、このやせ形の優しい艦長の下では、隊員は生き残り、任務を達成できるなと直観的に感じました。そして、統率方針や判断基準はシンプルにすることが大切であることを学びました。
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