師団長から訓練検閲を終わり言われる言葉-隊員に救われたな-

師団長から訓練検閲を終わり言われる言葉-隊員に救われたな-

 

 

訓練検閲という部隊の試験

 

部隊長は、2年に一回自分の部隊が与えられた任務を確実に達成できるように鍛えているかを直属の指揮官から訓練検閲と称する試験を5日~7日の間演習場で受けます。部隊長の在任間の評価は、この検閲の評価で決まってしまうというほど重要なものであり、直属の上司は自分の部下達がキチンと部隊を鍛えているか真剣勝負で確認します。

師団の3部長は、検閲を企画し、統制する幕僚てす。師団長から、部隊長が震え上がるような状況を仕組むように要求されます。

検閲を受ける部隊長と幹部が張り切っていても、隊員がその気になっていないと部隊としての粘り強さが出ません。

 

 

検閲前にレベルがわかる

 

一年中部隊や駐屯地を回ったり、演習をやっているのを視察しているため、3部長としては、その部隊のレベルは掌握できます。検閲に向かって部隊が一丸となっているかどうかは、検閲前に検閲を受ける受閲部隊全員が整列して装具を整えたり、指示を出しているところをみると一隊員までピンと意思が通っていかわかります。これで、大体検閲の評価が予想できます。この一隊員まで、ピンと意志が通っているかがポイントとなります。

 

 

訓練検閲の評価

 

訓練検閲には、主要検閲項目というものがあり、この項目に沿って点数を積み上げていきます。主要検閲項目はほとんどどこでも同じです。「指揮官が正しい状況判断ができたか」、「幕僚がしっかり機能したか」、「隊員の基本・基礎動作はどのレベルなのか」です。

700人の部隊では、検閲の点数は1000点満点とすると、指揮官が200点、幕僚が100点、隊員が一人1点の700点の配点になります。組織力を発揮する指揮官、幕僚、部隊を構成する隊員を評価します。

指揮官が抜群の活躍と能力を発揮しても200点の満点を取ることは難しく、幕僚も満点を取る難しさは同じです。

隊員は、持ち点が1点であっても、モチベーションの高さ、やろうという意志、具体的な行動に移す積極性、苦しい時の踏ん張りにより、1点が0.1点にもなるし、0.5点にもなります。たった一人1点であっても700名の人数がいると大量の得点となります。

0.1点の時は、0.1×700で70点、0.9点の時は、630点となり、隊員一人一人のやる気の差で大きな差が出てきます。

指揮官と幕僚の点数が良くて、隊員の点数が悪いというパターンはほとんどありません。指揮官と幕僚が良く隊員もいい場合と、指揮官と幕僚は出来が悪いが、隊員がいいという場合がほとんどです。

指揮官や幕僚がよほど嫌われていない限り、隊員はある程度踏ん張り0.3点程度の210点はやります。

普段の指揮官の統率によって、隊員の動きは生き物のように変わります。あのおやじを助けないといけないな、部隊の伝統と名誉を大切にしようという気持ちになると力の限り頑張り、0.6点の420点を叩き出す活躍をします。

 

 

隊員に救われる部隊長

 

指揮官が状況判断をとちってしまい50点、幕僚活動バラバラで20点の状態で指揮官は上手く出来なかった悔しさと不甲斐なさでがっくりし、再検閲か最低の評価をもらうと顔が蒼くなっている時、合格点の評価を師団長からもらい驚くことがあります。

師団長と指揮官との懇談で、師団長は、「ひどかったなー」と言い、「指揮官と幕僚の評価だけなら落第点だが、いい隊員が育っていて、ある程度のレベルまで訓練ができている。この隊員を如何に育て、力を発揮させるかがこれからの課題だ。お前みたいなのを隊員に救われたというんだよ」

と笑いながら、「これも、運であり、お前の人柄でもある」、「しっかり、やりなさい」と話していました。

 

 

師団長室に呼ばれる

 

演習場にも師団長の寝泊まりする部屋があります。

訓練幹部から、「3部長、師団長が呼んでいます」と言われ、師団長室に入ると、師団長からまあ座れと言われソファーに座りながら、煙草をとんとん叩いてなかなか吸わないで、今回の検閲について話をしてくれます。

煙草に火をつけるかなと思ったら、またトントンしていて、どうも今回の検閲はご満悦であったのがわかります。

「3部長、運もまた強さのうちだよ」と機嫌がいい時にいい話を聞かせてくれるパターンが始まりました。

 

 

 

 

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