オオクワガタマット飼育 -3令幼虫のマット飼育編-

オオクワガタマット飼育 -3令幼虫のマット飼育編-

 

 

3令幼虫の大ビンへの入れ替え時期

 

2令幼虫から3令幼虫になりたては、身体全体にまだ産毛が生えていて弱々しい状態です。特に、脱皮したての幼虫は、頭が真っ白で、頭と身体の比が1対2の割合で、触るとすぐ雑菌が入って死んでしまうような赤ちゃんと同じ状態です。身体が出来上がるまで、3令へ脱皮をする時身体を守るために作った空間でじっとしています。約1日で頭がオレンジ色になり、1週間で3令らしい幼虫の形になります。

2令幼虫から3令幼虫になる時期は、微妙に異なります。メスは、産卵のための穴を掘り、一つの穴に一つの卵を産みつけます。産卵のためにあけた穴は、産卵後メスの対内にるバクテリアをいっぱい含んだ木屑で丁寧に埋め戻しをします。この木屑に含まれたバクテリアで卵の回りの環境をコントロールし、オオクワガタの幼虫が成長しやすい状態にするとともに、卵の成長と卯化したての弱い1令幼虫を守ります。
このため、1回の産卵には、2時間ほどかかるといわれています。

 

 

幼虫の成長速度を合わせる

 

メスに産卵を1カ月間させた場合、最初に生んだ卵と最後に生んだ卵とでは時間の差があるため、成長の差が生じます。幼虫の成長状態から、大体5頭から7頭でグルーピングできるような集団が大・中・小と3つほどできます。

この3つの成長の違う幼虫の集団の成長を同じペースにするように調整します。
幼虫自体も成長の早い遅いがあり、遅く生まれた幼虫群も早く生まれている幼虫の成長に近づくように成長していきます。

3令幼虫になり、小ビンから大ビンへ移す時期は、7日から14日程度を基準に設定します。この7日間の幅を活用してなるべく同じ時期に大ビンへのエサ換えをするようにし、成長速度を合わせるようにします。

大型成虫は、主力となる集団から出る可能性が高く、成長が早い集団は大型が出にくく、遅い集団は羽化不全が多くばらつきが多くなります。同じ成長をしている主力集団から大型が出る確率が高いため、主力集団に幼虫の成長が合うように大ビンへのエサ換えを行います。

この時、成長の遅い幼虫群を主力の集団の成長に合わせるため、どうしても3令幼虫脱皮後、できるだけ早くエサ換えをしたいところですが、最低、産毛の生えている状態ではなくなってからに移すようにして下さい。

 

 

幼虫の身体に触らない

 

幼虫の身体の側面に呼吸をする気孔があるので、雑菌だらけの人間の手で幼虫を直接触り、気孔が雑菌を吸いこんでしまわないようにします。
マットから掘り出した幼虫は、幼虫を守っているバクテリアを含んだマットから出され、雑菌やカビ菌がいっぱいの外気に触れている状態です。弱点だらけの状態に加えて、手で触ることはプラスにはなりません。大きめの木のスプーンとへらを使い直接幼虫に触らないようにします。

 

 

ビンは洗ったら必ず完全に乾かす

 

予備のビンの準備は重要です。
幼虫の量が多くなると、洗浄後のビンの乾燥が間に合わなくなってしまい、ビンが十分乾かない状態でも幼虫の主力集団を増やすため使用したくなります。夏場は日向で乾かせは30分もかかりませんが、12月の時期は3日程度かかります。

濡れたビンを使うとマットの状態が変化しやすいのか、上手く成長しない確率が高かったり、マットが変質する恐れがあります。

ビンは完全に乾かして使用して下さい。ファンヒーターの風を利用すると割合早く乾燥します。

3令幼虫

 

 

洗わないでそのままビンを使う

 

自分の好きなオオクワガタの系統を絞り込み整理したり、増やしていこうとすると、いい種親作りのため、オス1頭にメス3頭を割り当てて幼虫を増やします。多くの個体を出せば、出すほど当りの成虫を得る確率が高くなるからです。

この時、頭を悩ませるのが、ビンの確保です。どうしても不足してしまい、幼虫のエサ換えの期間が伸びてしまいます。
止む得ず、3令を取りだした大ビンをそのままマットを詰めて使用してみると幼虫の成長やマットの劣化という問題も特になく、最近は、幼虫を取りだした大ビンをそのまま使っています。

そのままビンを使用することについては、今年の幼虫が成虫になると3年間のデータが取れるので、ある程度の評価ができると思います。

今年は、オスはまだこれといったのはあまりいませんが、2頭メスの幼虫がオスの幼虫並みの大きさが出ているので楽しみです。

 

 

 

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