奥の手を5つ持ち、相手の心と行動をコントロール下に置いて戦う方法

奥の手を5つ持ち、相手の心と行動をコントロール下に置いて戦う方法

 

 

奥の手の持ち方

 

奥の手を持っているとは、相手に対する戦闘準備や仕事を始める準備が十分できている状態に、更に、戦うための武器や作戦を準備することです。奥の手のイメージは、奇襲的な性格が強いものや一発逆転という感じで捉えがちですが、十分に勝てるまでの準備をし、加えて、心理戦の分野、技術分野、新たな武器や戦術、相手が自らバランスを崩すような技や相手の力を低下させてしまうような作戦を戦いの中で、この時と絶好のタイミングで使用するものです。

劣勢な状態から一発逆転するというよりも、最初から相手や敵を自分のコントロール下に置き、思ったように動かしながら、技をかけていく中で使用するものです。

戦いは、分水嶺状態が長く続きます。両者のレベルが互角だつたり、力・体力・精神面が安定して機能している状態では、勝ち負けがなかなかつかず、戦況が膠着し動かない状態が続きます。

しかし、何処かで微妙なバランスが崩れ始めると尾根道から一気に谷間まで転げ落ちるように勝負が決まります。相手と自分が尾根の上で押し合っている状態から、バランスを崩して斜面を転げ落ちるように戦況が劇的に変化します。

このため、敵と味方の間で、劇的な状況に相手を落とし込みながら、自分が落ちないように戦力をどんどん投入したり、作戦を変えたり、上手く兵を休ませたり、多く努力を注ぎ込み戦闘の勢い、突進力となる戦闘衝力を維持・増進させます。

 

 

相手が何を考え何を判断するか

 

互角に戦いながら、両者が何処で技をかけるか、相手の行動を捉え、相手の精神状態、兵士の疲労損耗状態、兵器の損耗状態、相手の繰り出す作戦について、分析し将来の動きを予測しながら、次の作戦や戦闘の要領を決め、準備をしながら切り換える時期としての発動時期を待ちます。

相手が、この分析を十分できない場合、今どのような状態にあるか把握できず、技を繰り出す時期や場所、ポイントを判断できません。反対に、正確な情報を相手に与えてしまった場合、自分達の現在の状態を判断することができ、動きを読み、先手を打たれてしまいます。

戦闘や戦いでは、そのまま何も手を加えず実行していると必ず斜面を転げ落ちることを理解する必要があります。し烈な努力合戦の上に勝利があるからです。

 

 

自分達のシナリオの中に引き込む

 

敵に情報を与えない、取らせないということが重要なことが分かります。

敵の立場で、今の状況を敵から見るとどのように見え、判断をするかについて、常に考えながら自分達の行動や作戦を組み立てると敵の動きが手を取るように理解できます。
いると思ったところにいないと、偵察のやり直しと作戦準備が遅れます。更にここにいると考え、偵察してみたらまたいないとなると、作戦本部の苛立ちと不安が広がり、自分達の読みが悪く裏をかかれるのではないかと分析してしまったりして、自らバランスを崩していきます。

敵の立場で常に作戦を組み立てていると、今、敵の作戦本部の状態は、イライラしてタバコの煙でモクモクだなと、敵のちょっとした動きからでも、手を取るようにわかります。そろそろ1つ目の手を使うか。これが奥の手です。

自分達のコントロール下に敵を引きづり込み、コントロール下から出られないようにするのが、1つ目の奥の手で、バランスを崩させさらに混乱させるのが、2つ目の奥の手です。
更に、分水嶺を一気に転げ落ちるようにさせるのが、3つ目の奥の手です。完全にコントロール下に置いた敵に強烈な切込みを行うことがポイントになります。攻撃衝力の勢いは、凄まじいものがあり強い安定した精神面がないと吹き飛ばす威力を持っているからです。

奥の手を5つ持ち、3つ目で勝負がつくように何度も作戦を練り訓練を行います。残り、あと2つ奥の手があると、勝利の女神は必ず微笑んでくれます。

若手将校との懇親会の時、若手幹部が、「奥の手を7つ持っていれば負けませんね。冷静で粘り強い戦いが常にできるように、若手幹部と意欲の高い陸曹と考えます」と言った言葉を思い出します。更に、陸曹が本気モードで考えると前線の戦闘が驚くほど強くなります。

 
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