永田イチロー氏と出会い銃や弾について学ぶまで、跳弾は、弾頭の形のまま跳ねて飛ぶものであると思っていました。また、小銃弾と拳銃弾の跳弾の違いも知らずに戦闘訓練をしていた状態でした。こんな状態の戦闘部隊を見た永田イチロー氏は、驚きを超えて呆れてしまったのではないかと思います。跳弾は薬量や弾頭の形状、入射角によって跳ね方や弾の変形の仕方が違います。
発射薬の少ない拳銃弾は、弾の潰れが小銃弾よりも少ないため、アスファルト道の車の下に隠れている敵を跳弾を使って倒す射撃法があります。
小銃弾は、初速が早いので硬い物に直角に当たった場合、弾頭が水のように飛び散ってしまいます。入射角が浅いと飛び散らないである程度の大きさの跳弾が発生します。
何故小銃を下向きにしたストレートダウンで保持する必要性があるかについて話をしている時、小銃弾が地面に垂直に当たった時、どのようになるかは見ればわかるので、機会があれば、ドラム缶に水を張って上から垂直に撃った時の弾の状態を皆に見せたらいいとのことでした。
なかなかできないと答えると、弾の表面をコーティングしている金属が綺麗に開いた花びらのようになり、鉛は潰れて飛び散ると教えてくれました。
ストレートダウンで地面を撃つと花びらの破片と、地面に当たって潰れた鉛の小さな破片が飛び散るが、小さな破片なので足にパラパラ当たっても大丈夫であると教えてくれました。
この時、私は愕然としました。戦闘要員がこのような基本を知らないことは、とんでもない欠落だと感じたからです。
平成15年頃、永田イチロー氏は、こんな質問をしました。
「射撃の時、陸上自衛隊で必ず装着しなければならないのは何ですか」
実弾射撃の時行動を思い浮かべながら、「鉄帽を被ることと、耳栓です」と答えると、
「なにー。グラスはかけないのですか」
「屋内での実弾戦闘射撃の時はどうするのですか」に、「やっていません」と答えると
不思議そうな顔をして、「何故ですか」と問いかけられたので
「屋内で自由に実弾射撃ができる射場はありません」
と答えたら、「ワハハハ」と大笑いされました。
屋内では、自分や味方の撃った時の焼けた薬きょうが目に当たるとやけどを負ったり、壁に当たった時に飛び散る破片や跳弾となった破片が目に入ると目を損傷するため、必ずグラスが必要であることを教えてくれました。
永田イチロー氏と懇談をしている時、数枚の写真を見せてくれました。「これがカップリングしている弾頭でカップリングの仕方で当たった時の穴の大きさが異なります」と弾頭のカップリングの特性について話を聞き、「これはほぼ実物大の写真ですが、どんな弾わかりますか」と聞かれました。
「弾の先端にカップリングが少し入っていて、発射薬が多い弾ですね」と答えると、
「この弾は、熊を一発で倒せる威力があります。人間に当たったら、胴が千切れるほどの威力です。恐ろしい弾です」
弾を見てどのような威力や特性があるか知らない戦闘要員でいいのかという疑問と、熊を倒す弾なのに、先端だけは切込みが大きく入っているものの、全体的にスマートな弾としかわからない自分の知識レベルを恥じました。
世界基準の軍隊と同程度のレベルの部隊を早く育成しないと実戦では大変なことになるなと感じました。
自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
【kindle本が出ました】
二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。
そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。
オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。
オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。