鳥取県の海岸にある「拉致防止」看板に北朝鮮との現実を見る

鳥取県の海岸にある「拉致防止」看板に北朝鮮との現実を見る

 

 

日本海側の緊張度

 

北朝鮮の潜入工作行動の一例を示し警告する看板が、観光地として有名な鳥取県「白兎神社」の入口に立っています。現在においても、ここまで具体的な内容で潜入工作の潜入兆候を示し注意を促す自立式看板から、危機の存在を認識できます。

太平洋側では予想ができない日本海側の現実があります。

東北の日本海の海岸では、朝鮮半島から日本へ向かう潮の流れがあり、朝鮮半島側から多くの漂流物が流れ着きます。多くのごみが毎日流れ着き、時にはハングル文字の書かれている古い船に死体が乗っていたり、特殊工作員の装備と死体が流れ着きます。

秋田県の男鹿半島は、人口密度が低く潜入適地のため、過去、潜入行動や拉致活動が活発な地域です。

30年前京都勤務で部隊移動のため関西の海岸地域に近づくとラジオに朝鮮語放送が非常に強い電波で入りました。驚いて小隊陸曹に聞くと「ここはこういう地域だ」と言われ、関東出身者として大きな違和感を感じたのを思い出します。

 

 

隠されてきた実態

 

拉致については多くの人が知る事実になってきましたが、数十年も前から日本海の海岸地域で北朝鮮による拉致が行なわれてきたことが、国からもメディアからも知らされることはありませんでした。

メディアでは、長い間「北朝鮮」という国名は「朝鮮民主主義人民共和国」と何かに規制されるように扱っていたことを思い出します。

長い間、拉致自体が認定されていないかったため、日本海の海岸で工作活動が行われていても、不審者による行方不明事件として処理をされていましたが、海岸地域の住民や関係機関は拉致の実態を認識していました。

国で認めず、メディアでも報道されないため、太平洋側に住む者には全く危機感を感じることなく、たとえ耳にしてもそんなことあるのかという程度で、伏せられ知らせられていない中で実態だけが進行してきたといえます。

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拉致警告看板の近くにある縁結びポスト

 

 

工作員の潜入と潜入を支援する誘導員

 

海岸からの潜入工作を行う場合、潜入する潜入部隊だけでは、多様な任務を実施することができません。
必ず、海岸地域で潜入を行う特殊部隊を誘導し、車両を準備し、道案内や日本国内での活動を支援する支援部隊が存在します。

小型潜水艦から水中スクーターを使用したり、漁船から小型ボートへ乗り換える時も、支援部隊が海岸に目印となる灯りを上陸地点を示します。上陸する特殊部隊は、海上を灯りを目標に前進します。

普段夜間灯りの付いていない無人の漁具庫の電気がついていたり、海岸に不自然な明かりが存在することが兆候となります。

日本海側は、家が少なく人に見られず砂浜に上陸できる場所が多く存在します。半島の裏側は、海上保安庁等の監視の死角となり潜入適地と言えます。

特殊部隊を受け入れるため、ほとんど外部の人のこない地域に見慣れない人間が歩いていたり、普段駐車する車のない所に見慣れない車が停車していたりします。

支援部隊は、特殊部隊の使用した潜入工作器材の回収、着替え、工作活動のための武器、装備、補給品を準備します。特殊部隊を車両に乗車させた後、あらかじめ準備しておいた潜入工作拠点へ移動します。

潜入の兆候は、灯りを消して行動するため、海上での行動からは把握しにくいですが、受け入れを行う海岸地域では、誘導灯、支援要員の配置、車両、見慣れない人の出現などから各種兆候発見が容易となります。

「おかしいと思ったらすぐ110番」の看板には、分かり易く、潜入を行う特殊部隊と受け入れを行う支援部隊の兆候が記載されています。この看板は、地域住民と協力して作成されており、この地域に危機があることがわかります。

 

 

何故日本全国に危機感は伝わらなかったか

 

北朝鮮の潜入工作活動は、周辺国に配慮した政府の外交姿勢、国内勢力による圧力やメディアの報道の抑制により、長い間、明確に認定されず、国民に広がりませんでした。

インターネットの普及とともに、多くの情報が共有化され、個人が情報を世界へ発信できる環境が広がると、事実を隠せない状態になります。

そして、政府の拉致問題への切込みがなされ、多くの事実が明らかになりました。

しかし、太平洋側には、北朝鮮の拉致行動に対する国家として許せないという行為という認識は広がりましたが、日本海側の危機感と不安全感は実感できません。

地形的に大きく区画されていると危機感が違う状態になります。現在住んでいるところに存在する危機に触れている日本海側の住民と情報で知っているが、肌に触れる危機のない太平洋側では、感じる危機感が異なります。

今回、鳥取県の自立式看板は、日本海側に現在でも存在する危機と、日本の安全保障の在り方、国民の危機感について、多くのことを考えさせるものになりました。

 

 

 

 

 

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