40連隊を後にして今年で10年が過ぎます。初級幹部は、早い者は1佐になり、熱い気持ちを持つ多くのメンバーが陸上幕僚幹部の中枢で活躍しています。連隊を牽引していた初級陸曹や中級陸曹は、中隊長や連隊幕僚になっていたり、先任上級曹長になっています。
小倉駐屯地を訪れるのは今年で3回目になります。
年々、連隊長時代一緒に勤務していた熱い心と高い志を持つメンバーが、小倉や近傍駐屯地に集まっています。更に、退職したメンバーも近くに住んで連隊を応援している状態です。
毎年、当時の仲間と記念行事の前日に懇親会を行っていますが、今年は駐屯地創立60周年のため、歴代連隊長会議が予定されていました。
当時の副官に歴代連隊長会議よりも当時のメンバーの会を優先してもいいと伝えると、「連隊長(なぜか元副官はそう言います。そのため、私も彼を副官と呼びます)、歴代連隊長会議は、連隊の主要幹部が出ます。いつものメンバーに加え、今年新しく異動してきたメンバーとも会えるので、歴代連隊長会議に出て下さい。私も出ます」
「第一、連隊長が歴代連隊長会議に出ないで、小倉に来ていて違うところの宴会をやっているのはまずいでしょう」
と副官が言うので、退職したメンバーとは飲めないのは残念ですが、歴代連隊長会議に参加させて頂くことにしました。
昼は、小倉に来たら必ず食べに行く「田舎庵」の鰻丼!
夕方まで時間があるので、元副官が門司港を案内してくれました。レトロな駅は現在改修中でした。
奥の橋は関門海峡にかかる橋です。
歴代連隊長会議は、宿泊しているホテルと同じ場所なのでエレベーターで降りると、会場となる部屋はすぐにわかりました。
入口で、連隊長以下参加者全員で出迎えのため立っていたからです。
懐かしい顔が多く、腹筋を鍛えているかボディーを軽く叩きながら、話をしたい気持ちを抑え、上品に入場しました。
部屋へ入るとブリーフィング会場があり、CRF(中央即応集団)でお世話になった先輩や連隊長時代に師団の幕僚だった歴代連隊長など多数参加しています。
小倉に行こうと思ったきっかけの一つになったのが、前職の連隊長とCRFで一緒に勤務した仲だったからです。そして、今回の現職の連隊長もCRF出身です。
連隊長は、最近の部隊の状況や隊務運営についてブリーフィングを行い、40連隊は確実に歩み続けていることが理解できました。
大変丁寧で心のこもったブリーフィングに歴代連隊長全員が、感謝の意を示しました。
隣の懇親会場には、アイキャッチ画像にあるキッチンマットが準備されていて、手作りの心の響くもてなしを受けました。
乾杯の後、しばらく上品に懇談をしていましたが、多くのメンバーがビール片手に集まってくると場が一気に盛り上がります。
連隊長時代、若い隊員の目標となり、幹部候補生になる心構えや勉強を教えながら、自ら戦闘技術を磨く先頭に立ち連隊を牽引していた二人の2曹が、現在中隊長として勤務しています。
彼等は、40連隊の隊員を成長させる起爆剤となり、土台を作った重要な役割を果たした二人です。
この二人が同時期中隊長で戻ってきたのは、これからの40連隊の再噴火の可能性を強く感じます。素晴らしい事です。
一人は、周り中のメンバーの心へ強烈に火をつけ回る赤い炎を吹く熱血漢です。もう一人は、沈着冷静で熱血漢が明けた風穴を拡大する青い炎を持つ男です。
二人は、同時期に幹部候補生になり、幹部任官後バラバラで勤務し、また、10年以上の年月を経てコンビを再結成しました。
九州の地を離れ、裸一貫で勝負してきた二人と話すと、懐の深さと安定感が増していて、人間的に大きく成長しているのがわかります。
「40連隊を現在の状況にあった方法で強くしていこうと考えています。時間がかかるかもしれませんが、力を合わせて頑張っていきます」と熱く語ります。
「明日の記念行事の訓練展示や格闘もできる限り指導して仕上げました。見て下さい」と、その頼もしさに嬉しくなります。
(翌日の訓練展示は、細かい所まで実戦を意識して隊員が行動をしており、格闘も本格的になっていて、変化してきたのが実感できました)
いつの間にか、周りに人が集まり、現役メンバーの話を沢山聞くことができ、珍しく少し熱弁を振るっている自分がいました。
多くのメンバーと話して感じたことは、40連隊が力強く成長していく予感です。
現職連隊長が何処まで部隊を成長させるかとても楽しみです。
今夜は、過去から未来へ続く、素晴らしい歴代連隊長会議となりました。
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