一年振りのイチローさんとの再会 -基本訓練と自在に変化する訓練内容-

一年振りのイチローさんとの再会 -基本訓練と自在に変化する訓練内容-

 

 

ハグから始まる再会

 

訓練場に早めに到着し、チームの人達と話をしていると、長谷川トモさんが運転する車が到着しました。停車と同時に黒のBe strongのTシャツを着たイチローさんが現れ、再会はハグから始まりました。一年間の思いが一瞬に伝わり合い多くの言葉は必要ありません。

イチローさんとハグをすると、分厚い胸と柔らかい良く動く背中の筋肉の状態から、チャレンジを続けている日々の姿が浮かびます。体調もいいこともよくわかります。

早速、挨拶も簡単に済ませ、基本的なエントリー訓練に入ります。いつものように、イチローさんの

「さあー行ってみよう」

の声でエントリー訓練が開始されます。
イチローさんの目の前で動作をするせいか、各人の動きは固く、上手く見せようとする心が先に走っています。

イチローさんは、訓練が始まるとすぐに感じ取ったものがあり、今日のメニューの見直しを考えているように見えました。

「逆方向からもう一回りしてみよう。いいですか」とイチローさんが言うと、訓練メンバーから「ウォース」と力強い返事が返ってきます。

この場面を見ると15年前、イチローさんが小倉で訓練を行っている光景が浮かびました。あの時と同じ感覚でメンバーの動きを見て、訓練内容を絞り込んだり、一気に進めたりする状態だからです。

 

 

訓練レベル確認しながら、訓練内容を自在に変化

 

当時、イチローさんが来日し、「挨拶も時間がもったいないのですぐにやりましょう」と前回の訓練で習った動作をすぐに始めます。

隊員の動作が始まると、イチローさんの目が深くなり、観察力と洞察力が急激に上がります。

全体を捉えながら、小倉の隊員のエントリーやガンハンドリング、スタックの動きの細部にフォーカスしたり、また元に戻して全体を捉えるようにして隊員のレベルを判定します。

しっかり、訓練を積み上げ予想以上のレベルだと「フォーホホ。よく訓練して力を付けましたね。では次に進みましょう」と言い、予想以下だと「トモ(長谷川トモさん)、動きが雑で、頭が混乱しているようなので、こっちの訓練をやろう」と訓練内容をその場で変更してしまいます。

「トモの行う動作をよく見て、今できていないところをやってもらいます」

訓練内容を変更する時、トモさんが次にやる訓練の動きを流れるように行い、その後、一つ一つ動作を区切りながら、イチローさんが撃たれないために必ずしなければならないこと、精度と速度のバランス、ステップの要領等を説明します。

説明終了後、「いいですかー。じゃ―やってみよう」のイチローさんのかけ声で訓練が再開されます。
隊員は、動きの説明を聞き、頭でわかっていても身体が上手く動かなかったり、動作ばかりに気に取られ肝心の射撃の狙いをしていなかったりしながら、集中と本気度が向上していきます。

「ちゃんと狙ってないじゃないかー」と、カッコはよくても、形だけで狙っていない隊員を指導し、まず確実に射撃ができることを叩き込みます。

 

 

形だけの訓練とレベルを上げる訓練

 

今回の来日では、射手からの見え方と敵からの見え方について、イチローさんは、トモさんとともに、訓練を修正しながら進めていました。

イチローさんの訓練を見ながら、「陸上自衛隊に、このようなインストラクターがいて、隊員を指導していったら強くなる」

「訓練をしている現場に幹部が出てきて、最初と最後の挨拶だけではなく、ずーと訓練を観察し、隊員の訓練レベルを判定できる幹部の育成が重要である」

「レベルを判定し、必要とする訓練内容に修正したり、変幻自在に変化させることを受け入れられる部隊の幹部、特に、上級幹部を育てる必要がある」

国際貢献活動がより本格化する状況にある陸上自衛隊は、訓練要領を次のステップへ進める時期に来ているなと感じました。

 

 

共通の楽しみ

 

訓練終了後、ハタさんの尽力でいつものイチローさんを囲む会を開いて頂き、話がいつまでも尽きない仲間との夜になりました。

小倉時代、ほとんどお酒を飲まなかったイチローさんは、最近、日本酒を好まれるようになり、「友と語る時は、やはり日本酒ですね」ということを、本当に実現できた嬉しい来日になりました。

 
≪次のブログも参考にお楽しみください≫
 
「私の戦闘技術を陸上自衛隊に伝えることが私の愛国心です」
 
永田市郎氏が十数年振りに我が家へ-年齢70オーバー、身体と心は40代-
 
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二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
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