面接で急に質問されたときの判断・決心

面接で急に質問されたときの判断・決心

 

 

何を言っても納得してくれない苦しみ

 

最近は、激しい面接はなくなってきているようですが、指揮幕僚課程という幹部の選抜試験では多くの事を面接試験を通じて学ぶことができます。

試験は40分程度で1課目終わります。その当時の面接試験の場面へ戻ってみます。

「攻撃をする時、敵の陣地への接近経路を山沿いか、平地沿いか、どちらを選ぶか」という問題でした。

1人に試験官は4人いる場面で試験は進みます。選んだ理由を説明するんですが、「君はどちらの案を選んだんだ?」と面接官、「ハイ、山沿いを選定しました」と私、「ホウ。(驚いた顔をして)そうか-。では理由を聞こうか」(なんだか嫌な感じになってきたな)と思いつつ、「三つの理由から選択しました。山沿いなので観測点をいかし火力の発揮ができること、対戦車ミサイルによる援護態勢がとれます」 というと、面接官Aが「日本の山は、木が深く茂っていないか。」、面接官Bも「山を越える労力を考えたら、常識的にない感じだよね君」、「アッ、でもですね遠くまで見えるような地形があるので大丈夫です」と苦しい答えをしながら、「考え直さんといかんかもしれないね」と言われつつ、頑張る私。

 

 

短い時間に決断を迫られる

 

「3つ目の理由として、攻撃が遅れて敵の主力が出てきても、山という地形を使って阻止することができます。」というと、面接官Cと面接官Aが「やる前から上手くいかないことを考えるのか」、「そう思わないかね」と言われ、汗が出てきながら、三つの理由が撃破されてしまいました。

面接官Aが(こいつが親玉だけれど性格悪いなー)と思っていると、「30秒時間を与えるので、もう一度どちらを選択するか考えて答えてくれ」と言われ、(時間が短くてこりゃー無理だ)と感じて、「2分下さい」と頼むと、「では、45秒にしよう。これ以上はダメ。はいスタート」と面接官A。

 

(なんだよ、なんだよ。これは。いやいや時間がない。)、(うーんあと何か理由はないかな。あれだけダメだしだから平地沿いの案にしようかな)、(ダメだ、間に合わない)、いかん時間が、(たいしたい理由ではないが言ってみるか)

「時間だぞ」と面接官A。「ハイ。歩兵戦闘の有利さを山で発揮できます。という理由で山沿い案です。」と答えると、「しょぼい理由だな」、「素直に平地沿い案にすればいいじゃないか」、「いえ、山沿い案です」と答えると「まだ山沿いと言うのか」、(山沿いと言っただけで罪なことを言っている雰囲気が漂う感じがしました)

 

「思いつきじゃダメなんだぞ」と面接官Bがたたみかけてきます。「そんなことはありません」と私。「では、もう一度説明をしてくれ」と面接官C、(少しだけ言い方を変えて見るかと思い)、先程の内容を少し変えて答えると、面接官Bが、「それはダメと言われたことを繰り返しただけではないか」、面接官親玉が、「1分考える時間を与えるのでもう一度考えるように。そして、どちらを選ぶか紙に書いて渡して下さい。では、スタート」(ええ!スタートかよ)(山沿いは何度も説明してもちゃんと納得してもらえないから、平地沿いにするか)

(理由でも平地沿いに関係するところは否定されていないしな)(よし、平地沿いに○だ)

「ハイ時間。おお平地沿いに変えたんだな」。

 

 

紙一重とはこういうことか

 

紙を渡して、席に戻る間に(いやいやまてまて!! そうだ!文句を付けられているが、自分の理由として挙げた理由の条件は崩されてないぞ。ただ、あーだこーだと言われているだけではないか!!!)

席に着くと、「簡単に説明してくれ」と面接官A。「紙には平地沿いと書きましたが、山沿い案です」と踏ん張る私。「君は何を言っているんだ、じゃーなんで紙に平地沿い案と書いたんだ」

「訳のわからないことをしたらダメだぞ」と言われながらも、「座るまでの間に考えが変わりました」となんとか凄い圧力を受けながらも答え、「また変わるんじゃないないか」と面接官B。「大丈夫です。私の挙げた三つの理由は良く考えると条件が崩れていないからです」

と耳あつになりながら答えると、面接官Aが「終わりましよう。御苦労様。よくできました。」

突然の幕切れに唖然とする私。(何、バッターアウトで終了?)(よかったの?)

まだ、終わっても興奮していて、顔と耳が赤いのが自分でもわかりました。

結果は「合格」でした。あとでわかった話では、案を変えた人は落ちていたということでした。かなり危ない状態だったわけです。

「厳しい環境や状況の中で、自分の選定した条件が崩れない、崩されない限りは、決断を変更してはいけない」ということが大切であるということです。

 

何年経ってもこの最終面接は忘れられない今ではいい思い出でもあります。席に帰る3秒間物凄く頭が回転しました。

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
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