部隊・チームの強さはどこに現れるか

部隊・チームの強さはどこに現れるか

※本記事のアイキャッチ画像は、永田市郎様から頂いた画像を使用致しました。

 

 

陸上自衛隊の2年ごとに実施する訓練検閲

 

陸上自衛隊の部隊は、2年に一回のペースで上級指揮官の検閲を受けます。検閲は、部隊の教育訓練をしっかりやり、事に臨んでは任務を達成できるようにしているかを直属の上司が行うテストです。検閲を受ける部隊長は、検閲に向けて訓練を積み重ね、厳しく練成していきます。

検閲が始まる前、検閲を受ける部隊全員が整列して直属の上司から訓示という検閲に対する考えを伝達された後、装備の点検を受け、実動訓練が開始されます。連隊規模になると1200名と500台近くの車両があるため、整列まで、30分近くかかります。部隊によっては1時間前に来て、装具の最終確認や必要な指示をして、準備を進めます。

 

 

並んでいる列を見た瞬間、レベルが分かる

 

師団長のスタッフである作戦幕僚は、この検閲を企画・実施をします。私は、いつも1時間前に部隊の整列している場所へ行き、部隊が並んでいる後ろの隊員達の状況を確認していました。ここで確認したものが、検閲の評価とほぼ一致するからです。

列の後ろはベテランの隊員がいたり、緊張感が前列の方に比べて低下していたり、30名~40名の後ろに並んでいるのでわからないだろうと気が抜けていたり、身体が揺れたりしがちです。

列の後ろがダラダラしている部隊は、やろうというモチベーションが低く、チームワークが悪く、隊員のレベルが低く、訓練が足りないとすぐわかります。検閲をしてもその通りの結果になります。

反対に、後ろの隊員までがきちんとして集中している部隊は、隊員のモチベーションが高く、一人一人の任務達成意欲が高く、苦しい時でも自然に皆が力を合わせて乗り越えます。

後ろまで、全隊員に指揮官の意思が伝わったチームになっているかが、列を見ることによりわかります。

 

 

小部隊の強さ

 

10名~30名の分隊から小隊という部隊では、彼らが集合している状態や話し合っていたり、装具を点検したりする行動を後ろから見ると、感じ取れます。

よく訓練をしており、レベルとモチベーションの高い隊員達が集まると、背中あたりから、ユラッユラッと陽炎のようなものが出て、彼らを覆っている感じになります。

あるレベルになると出てくるので、強く鍛え上げている部隊に接しているうちに、だんだんわかるようになると思います。

 

 

更に強い部隊

 

多くの部隊を検閲したり、師団長の訓練視察に同行している時、ユラッとするものを出す部隊を見つけた時、師団長へ報告します。

「師団長、あの部隊を誉めて下さい。よく訓練をしています」というと、「正門に入った瞬間、ここの部隊はいいなと感じた通りのものがあるようだね」と嬉しそうに笑います。

「futamiryu(著者)は、あいかわらず、よく訓練している部隊が好きだな」と言われ、「そうすれば、任務を達成して帰れますから」と答えると、「そうだな。では、強い隊員達に会いに行くか」と師団長は車を降りて行きました。

強い部隊の更に鍛え上げた部隊はどうなるのでしょうか。

このレベルになると部隊から発するオーラのようなものがほとんど出なくなくなります。静かな月が水面に映っているような感じになります。いつの間にか、強い部隊を見ると、モチベーションが上がり、物凄く嬉しく感じる自分がいるようになりました。

 
≪次のブログも参考にしてお楽しみ下さい≫
 
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そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

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