追尾斥候の原点「スカウト」-アニマルトラッキング-

追尾斥候の原点「スカウト」-アニマルトラッキング-

 

 

フィールドに残る痕跡から敵の存在を知る

 

韓国旅行をした時、朝鮮戦争に参加した元兵士の話を聞くことができました。新兵だった元兵士は、山中を歩いていると強い獣の匂いと呼吸音を感じ取りました。近くに足跡があるので、見つからないように匂いの強くなる方向を目指していくと、悪臭を放ちイビキをかいて寝ている北朝鮮軍の兵士を発見しました。

銃を構え、近づくと北朝鮮軍の兵士は、元兵士に気付き立ち上がりました。「動くな」と命じても、ボロボロで何日も風呂に入っていない北朝鮮軍兵士は言うことを聞こうとしません。

「撃つぞ」と言うと、「お前みたいな若造に俺を撃つことはできない」、北朝鮮軍兵士は、自分の心臓の部分を指さし、「ここを撃ってみろ。お前に撃てる訳がない」と徐々に近寄り、自分の銃に近づこうとします。

元兵士は、遠い所を見るような感じで「あの時、初めて人を撃った瞬間です」と話してくれました。

強烈な戦闘の話とともに、自然の中に残した痕跡から敵の存在を知る「スカウト」の世界を知った瞬間でした。

この方は、後に将軍となり、戦史に名前を残している人物です。

 

 

トラッキング=追跡

 

トラッキングは、追跡を意味します。
斥候が敵の存在を痕跡により確認し、敵の残した痕跡をたどりながら敵を追尾し倒します。

偵察行動を行う斥候は、色々な痕跡から敵の陣地、人員の配置状況、障害の位置、戦車、通信施設、指揮所、火力戦闘指揮所、弾薬集積所の位置を掴み、攻撃計画の作成に必要な情報を報告したり、航空火力や地上火力を誘導して目標を破壊します。

このため、敵の斥候の侵入を許し、自分達の情報を報告されたり、火力の誘導をされると厄介なことになります。

性能の高い敵の斥候を倒す価値は、敵50名を倒す価値があります。

性能の高い斥候は、足跡、匂い、草の倒れている状態、ゴミ、糞尿の痕跡から、敵の存在を知り、追尾をします。

斥候を倒すには、スカウトのトラッキングを知る必要があります。

 

 

トラッキング技術を野外で磨く

 

自然は、トラッキングについて多くのことを学べる訓練場です。

野生動物の存在を知り、野生動物を追跡する練習は、斥候の存在を知り追尾する基礎となります。

自然の動物達は、足跡や糞、匂い、食痕を残します。存在を知る痕跡を自然の中で沢山見つけることができます。

存在を知ったら、次は追跡です。追跡において注意が必要となります。

野生動物は臭いに敏感なので、オーデコロンなどの香料やガムやキャンディーの菓子類の香り、タバコの臭いを知ると敵の存在に気付き追跡できなくなります。

足跡も、動物ごとに驚く程異なるので、多くのバリエーションを知ることができます。

動物で鍛えると「人の足跡を発見する感覚」や「足跡からどのような行動をしていたかを知る分析能力」が向上します。

糞からも多くの情報が取れます。

足跡や糞は、新しいものと時間が経ったものとでは形状が変化します。時間の経過による足跡や糞の変化を掴むと目標との距離を知ることできます。

 

 

【次のブログも参考にお楽しみ下さい】

 
任務を達成して生き残れる人の考え方と準備の仕方
 
戦いの中でやられないで生き残る人の行動から学ぶ
 
カウンタースナイパー(インディアンの性能を持った隊員の育成)
 
カモフラージュ(スカウトのスト―キング)
 

アニマルトラッキング入門

 

外川英樹氏の監修の「アニマルトラッキング入門」は、アニマルトラッキングの基礎的事項、痕跡の紹介、写真による説明など、スカウトトラッキングに必要な内容を含んだ本です。

基礎的な事項と原則的事項は、この本で理解できます。

アニマルトラッキングを「人のトラッキング」に置き換えて考えると多くのことをイメージできます。

 

 

アニマルトラッキング入門 (NEW OUTDOOR HANDBOOK)
アニマルトラッキング入門 (NEW OUTDOOR HANDBOOK)

 

 

 

【kindle本が出ました】

 

『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。

人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。

読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準

 

関連記事紹介

2 Comments

  1. koonofukukan

    こんばんは、いつも楽しく拝見させていただいてます。
    「40連隊に戦闘技術の負けはない」読破させて頂きました。
    当時の事がつい最近のように鮮明によみがえりました。当時は、陸自の部隊、空自、海保等、色々なメンバーが強さを求め互いに競いあい自らを高めていました。

    40連隊は、常にその先頭にいました。その当時のメンバーが力を付け階級も上がり連隊に戻って来ています。

    最強の40連隊の復活が楽しみです。

    併せて第2段の発刊を楽しみにしています。

    1. futamiryu

      fukukan久し振りです。

      陸上自衛隊は、西への体制変換、練成訓練の質の低下、練度判定が十分できない厳しい状態にあります。

      2004年当時、国際貢献活動の本格化や米陸軍との共同訓練に対応しなければならない状態と今の状態が重なります。

      40連隊にメンバーが集まっているのは、時代の要請であり、本格可動すべき時期がきているからだと思います。

      激励宜しくお願い致します。

      まだ、『ターゲティングシステム』や『スカウト』も、書いていませんね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です