若い人材をどうやって獲得すべきか? -多くの若者が集まるタイプとは-

若い人材をどうやって獲得すべきか? -多くの若者が集まるタイプとは-

 

 

自衛隊員の募集の仕事

 

隊員の採用と就職援護を栃木県でしていた時に、凄い隊員に会いました。当時は、求人倍率が高く、一般企業に就職するため、なかなか自衛隊員を採用できない環境でした。上級部隊から、なんとか募集目標を達成するように毎日ハッパをかけられます。自衛隊では、広報官と呼ばれる隊員が募集をします。このため、広報官にハッパがかかることになります。

広報官歴5年を越え、地域の人達と深いつながりを持っているベテランも、募集できた人数が目標10名に対して5~6名という状態であり、若手は2~3名と苦戦をしている状況でした。

 

 

凄い男現る

 

広報官は一人前になるまで、学校の就職を担任する先生や部活の先生との人間関係を作ったり、議員さんや地域の有力者や自衛隊協力会の人と連携できるようにするため、通常、時間がかかります。

そんな中、36名を超える若者を募集し、驚異的な数字を叩き出している広報官2年目で32歳のHayashi(仮称、以後H)がいました。いったいどんなことをやってこんな数字を出しているのか、Hに会いたくなり、一緒に学校訪問をすることにしました。

Hはさぞ仕事のできるバリバリ動き回るようなタイプかなと思っていると、迎えに来てくれた車から、物静かな柔らかいタイプで、笑顔が印象的な青年が降りて近づいてきました。車の中で、高校生の純粋さと素晴らしさを目をキラキラさせて話してくれます。彼の話を聞いていると心が綺麗になる感じがしました。

予想していた人物像とは異なり、まだ地域との関係も十分できていないのに、どうして人を集めることができたのか、ベテランが大苦戦する状況で、何故、彼だけが爆発的な結果を出しているのか、まだわかりません。

 

 

凄い男は高校で大人気

 

広報官がしっかり仕事をしているかは、学校へ行くとわかります。玄関に入って事務室の扉を開けた瞬間、「Hさんどうぞ」とすぐ事務の女性が出てきて、校長室へ案内してくれました。(上手くいっていないと、手続きをしたり、長く待たされたりします。対応も事務的です。)

校長室へ行くまでに擦れ違うほとんどの学生がHに「Hさんこんにちは」とキチンと立ち止まって挨拶をします。校長室の前で、校長先生に出迎えて頂き、席につくと校長先生は、満面の笑顔で話し始めました。

Hは、本校の学生が入隊するまでの間、健康管理や行儀作法、言葉遣いについて、よく学生の面倒を見てくれ、入隊後も励ましてくれたりしているということ。Hに学んだ高校生は、皆「Hのような大人になりたい。Hのようになれる自衛隊に入隊したい」と言うと話してくれました。

 

 

若者が目指す人物像になる

 

初めて会ってから、車で高校へ行くまでの間に、安定感と信頼感は年齢以上のものを感じました。学校全体に広がっている知名度と彼の好感度は凄いなものがあります。帰る時、校内を歩いていると学生が近づいてきて、Hと話しているのを見た時、理解できました。

高校生と話している時のHは、優しい表情と柔らかいながらも学生の心に火を付けるような会話していて、いい青年だなーと学生とともに、自分も思いました。兄貴、兄貴と皆が慕ってくる、背中を追いかけついて行きたくなるような、そんな人間であるとわかりました。

広報官に求められるタイプが変化しているのを理解しました。

昔は、隊員募集というと、ハンチング帽に小脇にバックを抱えたようなおじさんが、自衛隊に入らないか、自動車の免許がとれるよとハローワークの出口で勧誘していたイメージがありますが、少子化が進み一人っ子が多くなると、自衛隊に対して「災害派遣や国際貢献で役立ちたい」という事を求めるとともに、「この人のようになりたい、頑張ったらなれそうだ」というタイプが若者を引きつけるのを感じました。

まず、自衛隊に入ったら、この人のようになれる、なりたいと感じる人間性を持つことが、広報官の基本であるということを知るとともに、これからの募集のやり方を考え直さないとならないことを彼から学びました。

 

Hayashiは、目立つタイプではありませんが、彼から自然に出てくる人間味がじわじわと人をひきつけていく、素晴らしい兄貴でした。

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
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二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
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二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準

 

 

『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

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