敵に見えない動きを追求する

敵に見えない動きを追求する

 

 

自然に溶け込む男doi

 

40連隊には情報小隊があります。情報小隊は、敵の活動地域に潜入して、連隊の作戦行動に必要な敵や地形の情報を偵察する最精鋭部隊です。連隊でもトップレベルの体力、我慢強さ、強い精神力と高い戦闘技術を持っています。

そこに、若い初級陸曹のDoi(仮称)という男がいます。物静かで、「futamiryu(著者)、敵に見えない行動をするトムブラウン(※)は、地球は3拍子で動いていると言いますが、自分も自然の中にいるとそんな感じが最近するようになりました」と見えない動きについて話し合っていると私に言います。

地球の自転に身体の動きを合していると3拍子が心地よいと話しますが、よく理解ができません。しかし、自分には見えないものを見えるところまで戦闘技術が上がったなとも感じました。

doiは、夜間敵の歩哨の脇2メートルの位置を見つからずにすり抜けることができ、敵の正確な位置を把握して砲迫火力を誘導して敵を倒すことや敵の足跡を追っていくのを得意としています。

※映画「ハンティド」の技術指導をした人物、本ブログでも紹介しています。
⇒詳しくは「戦闘の参考になる映画「ハンテッド」

 

 

自然との調和

 

「自然の中に存在しない行動や匂い、物があると見つかる」とdoiは言います。

自然には無い匂いで見つかるとは、自然の中に入る時、前日の夜風呂に入って頭を洗う際シャンプーやリンスを使っていると、自然には存在しないリンスの香りが漂い、性能のいい人間だと400メートル先から匂いを嗅ぎとることができるので、見つかる可能性が高いということです。

自然の中に無い物とは、自然には、真っ直ぐな線や直角というものは無いので、服についている胸ポケットの横の線やシャツの前立ての真っ直ぐな線、ズボンのウエスト部分の真っ直ぐな線は、自然の中には無い物なのでとても目立ちます。

自然の中には無い行動とは、よく偽装と称して鉄帽に草を陸上自衛隊は付けますが、頭に付いている草が上下に動く行動をした場合、自然界には無い動きなのですぐに見つかります。自然では風により横に草はなびきますが上下運動は無いからです。

更に、見る視点の位置を変えたり、太陽の光の影響を朝晩観察して見つからないような工夫とコツをDoiは積み上げながら戦闘技術としてまとめていきます。

 

 

小さくゆっくりとした行動

 

Doiは、見つからないようにするには動きを小さくゆっくりすることが重要であると言います。人間の目や近頃の各種センサーは、動くものに敏感であり、探知できるようなシステムなので、動きを小さくすることによって視界の中に動くものがないので、発見されにくくなります。

ゆっくりした行動は、見つかりそうになった時、静止すれば、最初からそこに何か物が置いてあるように感じるので発見されにくい状態になります。

このように、色々な工夫や動きをカモフラージュ、動作、音、自然の見方を作戦行動用にまとめたものを基礎レベル、中級レベル、上級レベルの3つの訓練コースに区分して、doiがインストラクターの中心となり訓練を進めることにしました。

 

 

見えない動きをするインストラクターの養成

 

見えない動きを連隊の全隊員ができるようにしてほしいとDoiに言うと、Doiから次のような要望がありました。

インストラクター要員を連れて山の中に1か月入って訓練するのを許可してほしい。自然の中で訓練と生活を合わせてすることが、一番上達が早いとのことです。

初めてなので、安全係を付けて1週間実施することにしました。

1か月後、あと1週間延ばしてほしいと言うので、延長を許可し、1か月後後Doiとインストラクター7名が帰ってきました。

会ってみるとDoiとDoiを鏡で写したようなDoi1号、Doi2号、3号、4号~7号が、あいまいでぼやけるような気配と周囲に溶け込むような感じで、静かに立っていました。凄い奴らをDoiは作り上げたなと嬉しくなりました。

「1日か2日、少し休みをとってから普及教育を頼む」というと、doi達が「訓練に休憩はありませんので、これから始めていいでしょうか?」と返ってきました。「馬鹿な奴らだ」と言い、doiとインストラクター達、頼んだぞと心の中で感謝しつつ、熱いものが流れるのを見られるのが恥ずかしいのですぐに部屋に戻りました。

この時、これでかなり強くなれるなという手ごたえをfutamiryuが感じた瞬間でした。

 
≪次のブログも参考にお楽しみください≫
任務を達成して生き残れる人の考え方と準備の仕方
気配を感じることはできるのか -水面にうつる月のごとく-
戦闘の参考になる映画「ハンテッド」

 

 

 

 

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二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
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二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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