車進出限界の女夫渕(めおとぶち)で車を降り、ブナ・ミズナラ帯の深い自然を2時間以上歩いていると、突如「ヒュッテ」というよりも、品の良い旅館が現れます。まず、ここで最初の驚きと感動を味わいます。そして、ヒュッテでの格別の空間の始まりです。
首都圏の夏は、息をすると重い空気が肺に流れ込んでくる感じですが、手白澤温泉の空間には、暑苦しく重い空気はありません。限りなく透明で澄んだ空気を満喫できます。
床は、ピカピカに磨き上げられ、どこも掃除が行き届いていて、気持ちの良い清潔感を感じます。
これだけでも、若い夫婦から熟年の夫婦が素敵な時間を過ごすために、二人で山登りをしてでも訪れる理由がわかります。
今回、珍しく息子が「去年行った手白澤温泉今年もいってもいいよ」という一言で、親子の手白澤温泉旅行が決定しました。
玄関で汗を拭くタオルをヒュッテの可憐な女性から頂いた時、「来て正解だったな」と息子と目が合います。
乾いたタオルは、後半雨となり汗と雨に濡れた心と身体にとてもありがたいもてなしです。
アイキャッチ画像は、息子がiPhoneで撮影し、「FF(ファイナルファンタジー)で使用されるような映像の森が撮れた」と感動した霧に包まれたブナ平といわれる場所です。
歩いていると空気が動いている場所があります。
植生が疎になっていたり、少し快活している場所や山から谷への風の通り道では、気持ちの良い空気の流れがあります。この空気の流れのある場所は、適度の湿度が維持され、樹々が乾き過ぎたり、湿気が強くなることがありません。
動物も状態の良い森の場所を知っていて、「けもの道」にもなります。
川の音が近くに聞こえたり、遠くに聞こえたりする手白澤温泉を楽しんでいると、清らかな流れに出会います。心が洗われます。
景色の変化や深い自然から感じ取れるものについて、息子との会話が弾みます。「ここの線を越えると風や感じるものが変わるね」、「この一帯は、甘い水の香りがする」、「二種類の匂いが混じっていて、動物の存在を感じる場所だ」など立ち止まり確認します。
山登りというよりも、深い自然を楽しむ面白さを味わえます。
温泉でゆっくり体をほぐした後、窓全開浴衣姿でウトウトしていると、「夕食の準備ができました」の声で目覚めます。
「身体が完全に冷えた」、「寒い」と感じながら、山のレストランとなる空間へ行きます。
広い建物に一日6組しかお客を取らないため、ほとんど他のお客様と顔を合わすことはなく、食事の時に泊まっている人を確認する感じになります。
「自分達を除いて、みんな夫婦で来ている人ばかりだね、今度夫婦できたら」とワインリストからお気に入りの自然ワインを選んでいるカップルを見ながら、息子が言います。
「一度は来たいけど、体力持つかな」、「微妙だね」と話していると森のホテルの前菜が運ばれてきます。
タオルを玄関で渡してくれた女性は、清潔な白のウエイトレスの姿になっていて、山と川の幸の料理を一品ずつ説明してくれます。色合いも味も申し分ありません。
「旨い」の連発です。
写真を取り忘れてしまいました。
「今年のお米は、上三川でとれたお米です」と教えて頂きました。
「明日の朝、たっぷり楽しんで下さい」と言われた内容は聞き流していました。しかし、朝食時その意味が分かりました。
二人にはちょっと多過ぎるほどのご飯がおひつに入っています。
「これおにぎりにできないかな」というと、「昨夜頼んでおくと昼食は準備してくれるよ」と息子が答えるので、「早くいってくれればよかったのに、しかし、このご飯は多いぞ」とよそって食べ始めると。
頭も骨も全て食べれてしまうニジマスの甘露煮だけで、ご飯二杯は軽く食べてしまい、半熟卵、とろろ芋、お新香で二人で四杯ずつご飯をお替りしてしまい完食です。
普段二人とも、体重コントロールと身体作りのため、毎食ご飯は一膳しか食べないのですが、上三川のお米は軽くていくらでも食べれてしまいます。
このヒュッテを夫婦で経営している女性の言う通りでした。
食後のコーヒーを楽しんだ後、温泉へ行くことにしました。
息子は、手白澤温泉の露天風呂で満天の星と天の川を見るのを楽しみにしていましたが、雨のため昨夜は見られませんでした。霧の中の露天風呂もなかなか味わえないもので貴重な時間となりました。
私は、露天風呂に入りながら夜明けを待つのが好きなので、今回も露天風呂で夜明けを待つことにしました。
暗い間、樹々から自分達の存在を主張するような感じを受けます。なんだか、一人でいると怖くなるほどです。
日の出が近くなり、乳白色に明るくなり始めると、樹々の主張はなくなり、静かで透き通った清々しい状態になります。
鳥の鳴き声とともに、空一面にトンボが飛び始めます。
そして、朝日を浴びながら入浴する。素晴らしい時間を味わえます。
手白澤温泉には、蛇口がありません。完全かけ流しです。
手白澤温泉の部屋には、テレビはありません。自然の音を楽しめます。
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