苦しくなると周りに部下がいなくなる指揮官、集まってくる指揮官の違い

苦しくなると周りに部下がいなくなる指揮官、集まってくる指揮官の違い

 

 

苦しい時に真の姿が現れる

 

 師団長が、連隊長と連隊長の練成した部隊と真剣勝負をする2年に1回行われる「戦闘団検閲」の場では、師団長は、連隊を大ピンチの状況に陥れ、連隊長と部隊の対応を確認します。
 苦しくなると、本当の姿が現れるからです。

 師団長は、検閲を企画・運営するスタッフである師団の幕僚へ、厳しい状況に陥った時の連隊長と連隊本部内の状況を確認できるように指示を出します。

 例えば、敵の兵力が増加して、攻撃力が上がった敵にどんどん押し込まれていき、陣地を構築して防御をしている戦闘団が苦しい状況へ陥っていきます。
 
 今は何とか持ちこたえている状態ですが、敵の本格的な攻撃が開始され、あと一押しされると、防御している場所に穴が開き、防御組織が崩壊する危険がある状況に追い込みます。
 
 厳しい状況に追い込まれていき、師団長から示された「明後日の夜まで戦闘団が確保」と示された地域を持ちこたえるための手立てがなくなってきた戦闘団長の心は穏やかではありません。

 戦闘団から、師団へ増援の要請や空爆の要請を出しても、現在できないと回答され、孤立状態になっています。

 

 

怒号が始まると部下が消えていく

 

 戦闘団本部内の幕僚から「2中隊の損耗が30%を超えました」と戦闘を継続するギリギリの状態になったという内容や「3中隊正面に配置したTK2両撃破されました」と厳しい状況が次々に報告されます。

 戦闘団長へ現地の中隊長から直接有線電話で持ちこたえることが難しい報告、偵察を行う情報小隊から「敵が続々集結している」情報が入ります。

 厳しい状況がわかっているところに、矢継ぎ早に状況悪化の報告ばかりが入ります。考え付く手段を尽くし指揮していた戦闘団長も、平常な心理状態を維持することが難しい環境になり、一挙に本部内の空気が暗くなります。

 戦闘団長は、徐々に口調が荒くなり、「何故そうなるまで手を打たなかったのだ、報告しなかったのか」と、幕僚を怒り始めます。

 ますます、戦況が悪化していくと報告する全ての部下に対して怒鳴り始めると、聞こえるのは戦闘団長の怒鳴り声だけで、幕僚の声はほとんど聞こえなくなります。

 階級の下の幕僚がいつの間にか戦闘団本部からいなくなり、本部の中には、主要幕僚だけか、ほとんど人がいなくなってしまう状態になります。

 

 

苦しい時に部下が何とかしようと知恵を絞る

 

 一方、リーダーシップを発揮し、部下との信頼感ができている戦闘団本部では、どうなるでしょうか。

 同じように厳しい状況に追い込まれ、次々に状況悪化の報告が入る中、戦闘団長が、台の上に地図が置かれ地図上に敵と味方の状況が記入されている作戦台の前に、ドカッと座り、味方の損害状況表と敵の損害予想表、誘導弾・各種弾薬の残数を見ながら、腕組をしています。

 作戦台の周りには、戦闘団本部の幕僚が集まり、戦闘団長へ戦況の報告とともに、「事態打開のアイデア」、「持ちこたえるための処置」等、自分たちが所掌する分野で考え付くこと次々に出して、何とかしようと戦闘団長を囲みながら、作戦台の前で話し合います。

 「今できることを全てやってみよう。師団長へもう一度、戦車1個中隊を含む増援と空爆、戦闘ヘリをお願いしてみる。では、かかれ」と指示を出すと、一声に幕僚が活動し始め、戦闘団本部内の空気が一変します。

 第一線で戦闘している各中隊も、戦闘団本部の活気を素早く感じ取り、士気が上がり、本部と連携して苦しい状況下でも処置、対策を進めていきます。
 
 部隊は、指揮官のリーダーシップの良否によって大きく動きが変わります。

 この状態を師団長は確認・評価します。現時点で実戦があった場合、どの部隊をどこで使うかに関する部隊運用へ反映させるとともに、今後の部隊練成の参考にします。

 

 

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