気持ちの良い職場の雰囲気を上司が作り、部下が周囲へ広げていく方法

気持ちの良い職場の雰囲気を上司が作り、部下が周囲へ広げていく方法

 

 

雰囲気を作っているのはリーダー

 

ベースとなる職場や部屋の雰囲気、この雰囲気の元となるもの、発生させる根っこは、誰が作っているのでしょうか。
発生させる根っこは、驚くかもしれませんが、90%~95%その部署のリーダーが作っているのです。

リーダーの仕事の仕方、人柄によって、職場の雰囲気は大きく変わります。
「仕事を丸投げする」、「責任を取らない」、「指導が長い」、「指針を示さない」タイプや、「風通しがいい」、「仕事をしやすいように調整を進めてくれる」、「仕事を通じて成長できる喜びがある」タイプや、「この人と一緒に仕事をするに喜びを感じる」タイプなどによって、部下のモチベーションは大きく変わるからです。

部下に与える仕事の量も大切な要因ではありますが、リーダーの仕事の仕方、人柄は、それを越える大きな影響を与えます。

組織は、リーダーが、リーダーシップを発揮して仕事をしているかどうかによって、メンバーの意識が変化します。その意識が日々、定着していきます。

定着した意識によって職場の雰囲気が作られます。

 

 

ベースとなる雰囲気はリーダーシップのバロメーター

 

リーダーは、メンバーに文句を言う時間があれば、まず自分の置かれた立場、地位・役割を明らかにしなければなりません。自分がネックになっていることがほとんどだからです。

怒るよりも、リーダーシップを如何に発揮するかを考えて下さい。

地位・役割が明確になれば、進むべき道が明らかになります。

リーダーは、進むべき道が明らかになれば、その方に向って、メンバーのモチベーションをコントロールし、ベクトルを正しい方向に維持しながら、組織を引っ張っていかなければなりません。

組織を引っ張っていくためには、リーダーシップの発揮が必要となります。信頼関係を基礎とし、リーダーがリーダーシップを発揮している組織は、モチベーションが高く、躍動感のある状態になります。

ベースとなる雰囲気は、それぞれの部署のリーダーが確実にリーダーシップを発揮しているかどうかのバロメーターになるのです。

 

 

視察のプロである師団長に随行する

 

熊本に所在する第8師団に勤務していた時、師団長の部隊視察に同行した経験を紹介します。

師団は、7000人規模の部隊で20個程の師団長が直接指揮をする部隊があります。

半分は同じ駐屯地に所在しますが、残り半分の部隊、800人以上を有する連隊規模の部隊や戦車部隊などは、他の駐屯地に所在し、部隊長であるとともに、その駐屯地の長である駐屯地司令も兼務しています。

私は、師団司令部の作戦運用・教育訓練を担当する第3部長を拝命していました。
通常、3部長車があるため、師団長とは別々の車で行動することがほとんどですが、師団長が自ら行う訓練視察の時は、師団長のジープの後ろに乗れと言われ、師団長車で駐屯地に入ります。

駐屯地に入ると、正門のところにラッパ隊が準備されていて、栄誉礼という曲を吹き、警衛が捧げ銃という敬礼を師団長に行います。

警衛司令の「服務中異常ありません」の報告を受けた後、部隊長の所在する建物に向います。

部隊長は、玄関の前で師団長を出迎え、執務室へ案内し、師団長へ状況報告を行います。

状況報告終了後、訓練視察のため、訓練場へ移動します。訓練視察後、主要幹部又は、訓練に参加した隊員を集めて師団長の訓辞を受け、師団長の訓練視察が終了となるのが通常のパターンです。

正門から部隊長の待つ玄関へ移動するわずかな時間に、師団長から「3部長、この部隊はどうだ」とよく質問されます。

「隊員のやろうという意欲があまり感じ取れないので、視察に合わせ、形だけ仕上げた感じを受けます。基礎動作が甘く、言われたことはできるが、言われないとやらない部隊という感じを受けました」と答えると、師団長は「自分もそう感じた。部隊の訓練を視察しても、だいたい最初の印象から変わらないものだが、見てみることにしよう」と返ってきました。

視察が終わり、自分の車で帰隊しようとすると、「帰りも車の後ろに乗るように」と言われました。

このパターンは、不満があり、気持ちが収まらない状態の時です。

 

 

師団長の部隊・人を見る目の鋭さ

 

案の定、駐屯地を出て間もなくすると、部隊長に対する不満が爆発しました。「表面上取り繕っていたので、最初はこんなに酷いとは思わなかった。

それにしても、あの訓練は、何だ。隊員は、言われた事だけをやっているだけで、何故この動作や行動をするのか、理解していない。隊員のモチベーションも低い」と話は途切れません。

「よく3部長、部隊長を指導しておきなさい」と言うので、「部隊長は、私よりも先輩で、級も上です。師団長よろしくお願い致します」と言うと、「それがハッキリ言えないから、ここで話しているんだよ。師団長の苛立ちをよく覚えておき、これから3部長が連隊長になる時、生かして欲しい」と教えを頂きました。

「もう一度、師団長の訓練視察を部隊と調整して、設定します。事前訓練では、3部が連隊と協力しながら、目指す方向へ進めます」と今後の予定を話すと、師団長は、「それでいい。連隊長には言っておく」と満足し、帰隊するまでの間、部隊の訓練や教育で得たコツや方法、部隊の強さを見る視点など機嫌よく話して頂き、駐屯地へ戻りました。

 

 

ベースとなる雰囲気を変える方法

 

小倉駐屯地司令として、上司視察の時や各種行事、盆踊りで多くの人が駐屯地へ訪れる時、駐屯地全員に話すことがあります。

駐屯地を訪れた人達が、気持ちよく感じられるように、ベースとなる雰囲気をより良い状態にするためです。

師団長のように明確にベースとなる雰囲気を感じるタイプから、何となくよくわからないが微妙な雰囲気を感じる地域人達を気持ちよく訪問してもらえるように、「ようこそ、おいでくださいました。歓迎致します」と駐屯地に所属する全員、一人一人が当日、心に強くこの言葉を思って行動することです。

駐屯地全員が強く思うことによって、来隊する人達をお迎えする気持ちのよい雰囲気ができあがります。

部隊の強さ・訓練状況などの雰囲気は変えることは難しいかもしれませんが、駐屯地内に入った時、「おやっ、なにかいい感じだな」と感じると思います。

地域の人達から、後日、「今回の記念行事は、隊員の人達の言葉や対応が心に残りました」、「駐屯地全体が心地よく、隊員の人達の気づかいは、心に残ります」というアンケート結果や手紙などを頂きました。

 

 

雰囲気が良くなった効果かもしれませんが、実際のところは良くわかりません。

隊員は、心に思うことによって、笑顔が多くなり、いつもより一歩踏み込んだ気づかいや対応を皆でおこなう環境ができたことは間違いありません。

一日だけという短い期間でも、隊員全員の意識が変わり、個人・チームの行動が変わりました。

全員が心の中に思うことによって、行動が変わり受け取る感じも変わっていきます。

 

 

【次のブログも参考にお楽しみ下さい】

 
陸曹が幹部になりたくなる部隊、本物の強さの追求と人材育成
 
どのような部隊が強い部隊なのか
 
元米国陸軍大尉 飯柴氏から「40連隊に戦闘技術の負けはない」へのコメント
 
鳥取県の海岸にある「拉致防止」看板に北朝鮮との現実を見る
 
コンバット・メディックは実戦で生き残るための必須の戦闘技術である
 

 

 

 

【kindle本が出ました】

 

本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめり込む姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術

 

 

 

 

『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。

人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準

 

 

 

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