相手と会話をしている時、滑らかに、良い感じに進んでいても、自分の立ち位置を不明確にしたり、当事者であるはずなのに焦点から離れ、安全地帯にいるような言葉を聞くと違和感を感じます。
意志を持って進めていくべき役割を持っている人が、職場の現状をまるで風景を見たように言っているのは、いつでも責任を回避できる安全地帯にいて、感想を独り言として呟いているのと同じです。
例えば、レストランの経営者が店の料理を食べて「この煮物は美味しくないな」というような、感想を喋るだけでは、主語が不明であり、どうすればいいのかも分かりません。「味に深みと広がりを持たすために、塩の塩梅を調整し、出汁を多めに使おう」と言えば、言葉に意志があり、現状が改善でき次に進むことができます。
焦点となる場面から距離を置いて、第三者的な立ち位置にいる発言をした人へ「この状態をどうみますか?」と尋ねると、「○○のような印象を持っています」と返ってきます。ただ個人が感じたことを喋っているだけで、とても無責任な言葉です。
「これはどうなっていますか?」という質問に対して、当事者である人が「○○のように聞いております」という言葉も、誰がという主語がなく、いつ、誰に対して責任を持って報告したかをぼやかしています。
「誰から誰に報告があったのか」質問をすると、「そのように一般的に言われています」と自分は焦点から離れ、観客のように無責任な立ち位置をとれるようにして自己を保身します。
また、「○○と感じます」や「○○と思います」も自分の役割、役職から出た言葉にならないようにする、単なる一個人の感想のような言い方です。
意志を示すのは、「○○です」、「○○します」というように言い切る言葉です。
権限と責任はパックであるのに、責任を曖昧にするような言葉を使うと、信頼が崩壊し、組織の団結、モチベーションが崩れていきます。
丁寧で柔らかいながらも、言い切る言葉を使い、話す内容を積み上げていくことが重要となります。
説明をする時、質問されても上手く対応ができるように、「○○等、」とよく使います。文章では、「等」の定義をしっかりできますが、喋り言葉では「等」は何を指しているか分かりません。
等の中身が全てしっかりしていればいいのですが、相手からの質問でこれも考えておいた方がいいのではないかと問われた時、「等の中に含まれています」と言うための中身の無い「等」は、完全な逃げ言葉であり意味がありません。
時々こんな説明を聞きます。「方向性等の概要等の説明等をします等」(笑)です。安全な場所にいて、完全に自分には責任がなく、いつでも逃げられるような喋りです。
現場では、等はなくさなければなりません。「ホーク等、持ってきて」と言って、ホークとナイフを持ってきたら、ホークと皿が必要だったというように齟齬が起こります。
危険度が高い仕事や緊急性の高い職場では、正確で的確な指示や言葉が非常に重要となります。不安定な言葉や責任の無い言葉は、混乱や手遅れ、事故の原因となります。
日頃から、意志を示す言葉をつかった話をするように心掛けて下さい。
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