強い自分を作る「いっぱい、いっぱいになってしまう心の改善方法」

強い自分を作る「いっぱい、いっぱいになってしまう心の改善方法」

 

 

心を大きくする方法

 

 重要で量の多い仕事の連続や睡眠不足、上手くいかないことが続くと、心がいっぱいいっぱいの状態になります。
しかし、心の容量を大きくし、思ったよりも簡単で、自分の心の限界値を上げ、心がいっぱいいっぱいになりにくくする方法があります。私が実践した方法を体験談を通して紹介します。

当時防衛省が六本木に所在していた時、情報の企画部門の仕事をしていました。予算要求や、中期防衛力整備計画を作成する重要な時期になると、月曜日の朝家内へ「行ってきます」と言って出勤し、土曜日の始発で「ただいま」と帰ってくる状態になります。現在の労働状況からは考えられないような毎日になっていました。

毎日夜中の1時過ぎまで資料を作成し、それを点検してOKが出たら終わるという日々でした。当然寝る時間は遅くなり、寝るのは夜中の2時になってしまい、寝袋を買って夜の美しい東京タワーを見ながら宿泊している状態でした。
ただでさえ、睡眠不足なのに、仕事が上手くいかなかったり、業務量が多くなり泊まり込みが続いているとだんだん気持ちが沈んできます。

 若手は、泊まって仕事をした先輩の朝ごはんを売店に買いに行くのが慣わしでした。先輩のニーズを確認し、売店へ向う時、睡眠不足の先輩とすれ違います。
「おはようございます」と言っても、寝不足の先輩たちは、機嫌が良いわけはなく、朝から大きな声を出すな、うるさいという顔をして「オウ」と答えるか、片手を力なく上げるのが普通でした。

 しかし、ある先輩、B先輩だけは、違う反応をします。カリフォルニアの青い空のような清々しさで「おはよう。元気かな。今日も頑張ろう」と、にこやかな顔で返ってくるのです。
 各部の担当は資料を提出し終わる夜中の2時頃には寝ることができますが、B先輩は、各部が提出した資料を取りまとめているため、寝るのは早くても、3時過ぎになり、自分たちよりも寝不足で苦しい状況のはずでした。

 

 

毎朝清々しい先輩に驚く

 

 不機嫌な状態で対応する先輩が多い中、毎回B先輩はどうして朝からこのような笑顔ができるのだろう、という笑みで「おはよう今日も元気に行こう」と言います。
「どうして、私たちよりも睡眠時間が少ないのに、笑顔ができるのですか」と聞いてみると、「笑顔のほうがいいだろ」となんだか答えをはぐらかされてしまいます。機会を見つけて切り口を変えながら聞くのですが、私の欲しい答えを得ることができません。

疑問を持ちながら少しだけ元気な声でB先輩へ挨拶をすると、「今朝は少し元気があるね」と声をかけられ、「そんなことありません。毎日寝不足で苦しい状態です。先輩は私よりも睡眠時間が少ないのに凄いですね。自分よりも仕事の量が多いのに、忙し過ぎて厳しくないですか」と返すと凄い答えが返ってきました。

 「そんなことはないよ。仕事があまりなくて毎日どうしようかと考えるほどだよ。余力があまってしょうがないよ」と笑みを浮かべながら言います。
B先輩のほうが確実に業務量が多く、大きな責任がありほとんど家に帰っていない状態なのに、この答えは意外でした。どうして、こんな答えができるか益々聞きたくなります。

 

 

先輩から伝授されたこと

 

 ある時絶好の機会が訪れました。業務の区切りがついた日に一緒に飲みにいくことになったのです。B先輩の面白いエピソードの話が一区切りした時、もう一度聞いてみました。
 「自分も眠くて疲れているが 、不機嫌にしてもなにもいいことはないだろうし、忙しくてしょうがないと言ってもみんな忙しいんだからね」
「だったら考え方を変えてみたらと思ってね。やってみるかい」と言ってくれました。

「心を大きくすることだよ」とB先輩は核心となる話を始めました。

 「人には心が穏やかでいられる状態を保てる限度があり、その容量はそれぞれの人毎に違うものである」と説明し、どうすればいいんですかと聞くと「その容量を大きくする努力をすることだよ」と柔らかい表情で話を続けてくれました。

「自分の心がいっぱい、いっぱいの時に少し踏ん張って、穏やかな心にしようと毎日トライを続けると広がるんだ」
「そうだな、心の容量が球状のものであったら、その球を少し無理やり広げるようにしているうちに球が広がり大きくなる感じかな」といい、まあ飲むかとビールをついでくれました。

「今の心の状態を少しずつ大きくする方法があるのでやってみたらどうかな。自分の心を10~15%いつもより大きく開いて日々行動をしていると、心の大きさがいつもより15%増しの状態になり、いつもなら苦しくなってしまうところが、普通の感じで受け入れることが出来るようになるんだ。これを繰り返していくと心が大きくなり、安定度が増すようになるから、やってみたら」と説明してくれました。

 

 

大変なことになる

 

 なるほどそのようなやり方があるのかと思い、「心を15%開くということは、どのようにすればいいのですか」具体的な要領について質問すると、「いつもならば、苦しくなってしまう状態の時でも笑顔を作って、まだ余力がありますというように自分に言い聞かせ、心が大きい人間のように振舞うことだ」と話し、「君ならできるよ。頑張って」、「やっているうちに慣れてくるから」と言われました。

 早速、次の日から、朝の挨拶の時、カルフォルニアの青い空のように爽やかな顔と声で「おはようごさいます」と先輩達に挨拶をすると、みんな びっくりして、「おい、仕事が楽にったのか」とか「いいことがあったのか」と言われます。
「そんなに仕事が忙しくありませんので元気溌剌です」と答えると、「頑張れ」と先輩達がニコッと笑って答えてくれました。
このような感じで、普通なら不機嫌になってしまう心を無理やり開き、ニコッと笑みを浮かべながら明るい声で前向きな話をすることにしました。

2日続けると、苦しくて仕方がない状態になります。心に鞭を打って無理やり開いて明るく振舞っていると、普段の倍以上心に疲労と打撃を受けるからです。
 3日後、心を無理やり広げているので、表情と心を作るのがきつくてきつくて、これはもちそうもないかな~と弱い心が出てきてやめようかなと思った時、あの先輩の言葉を思い出しました。
「やっているうちに慣れてくるから」という言葉でした。
あの時は余り心に引っかからない言葉でしたが、もう少しやるかと言う気持ちになりました。

 しかし、こんな状態では10日も、もちそうにありません。顔は笑顔ですが、心はヒーヒー状態でいつ我慢ができなくなるかわからない状態です。

 

 

慣れるんだよ

 

 あまりにも辛いので、B先輩に相談することにしました。今の状況を話すと、「そうだろうね、でも大丈夫だよ。人間は慣れるという特技があるから、1か月頑張ると楽になるので頑張って続けてみることだよ」とアドバイスを頂きました。
そうはいっても、この状態で1か月はしんどいなと思いましたが、さっそくB先輩のアドバイスどおりやってみることにしました。

ヒーヒー言いながら1週間やっても、少しも楽にならず、かえって、10日ぐらいまでは苦しさが加速していき、ただ続けるだけを考え耐えました。すると、2週間を過ぎるとあんなに苦しかった状態が、何となく少しずつ和らいできたのです。 
嘘のようです。いつの間にか1か月を過ぎると普通にできるようになりました。
 B先輩へこのことを話すと、「よく頑張ったね。また心を広げて見たら」と言われました。
 1か月が過ぎ楽になったのは、慣れではなく、心が成長したのではないかと思います。

 この日から、少し心の容量を広げていくことを今でも続けています。普通の人よりは、強くなったと実感しています。
これをやるのは、特に、若い時に行うと成長時期でもあり、効果が早く出てきます。

心を大きくする方法は、きつさもありますが、乗り越えると素晴らしいプレゼントが貰えます。
皆さん、どうですか明日から。最初の2週間はきついですが。

 

 

 

 

 

 

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2 Comments


  1. いっぱいいっぱいになって上手くできない、上手くできない自分にがっかりしたり、パワハラ上司が怖くて上手く力を発揮できなかったりな毎日に鬱々としています。
    こんな方法があるのですね。
    心の容量は大きくて良いに越したことはない、と思います。
    耐えられるかわかりませんが、挑戦してみます。
    ありがとうございました。

    1. futamiryu

      汐 様

      チャレンジ、素晴らしいと思います。

      チャレンジすると何かが始まり、何かが動き始めます。
      自分が変わると周りが変わります。

      どうしようもなくなったら、少し時間をおいてみるのも手だと思います。
      その時に自分の能力が上がることを、なんでもいいですからやって、力を付けて下さい。
      (読書でも、運動でも、趣味でも力を付けることをを止めないようにして下さい)

      力が付けば、やれることが増えます。そしてチャレンジしてみて下さい。

      モヤモヤしたり、イライラしたりする時は、案外ジョギングなど運動をしてみると思いのほかスキっとします。

      「これをやろう」よりも、「これをやる」という意識、意思を持つのもポイントだと思います。

      頑張って下さい。

      諦めなければ、負けはありません。目標近づきます。

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