巨大犬との戦いは -オオクワガタ採集体験記-

巨大犬との戦いは -オオクワガタ採集体験記-

 

 

宮崎県の山奥のダム

 

この時期(7月)になるとオオクワガタの採集がスタートします。熊本勤務の時、宮崎県と大分県の境にオオクワガタの採集できる地域があり、美味しいものと温泉を楽しみながら夜の灯下採集ができます。宮崎県は、知る人ぞ知るウナギの旨いところです。昼はうな重を食べて温泉でゆっくりし、夕食は宮崎牛をこれでもかと焼き肉で味わってから、真っ暗な山奥の中で眩しいほど輝く自動販売機の明かりや水銀灯に飛んでくるオオクワガタを狙います。

気になっていたダムの水銀灯のあるところは、狭い通路を通って中に入った建物の近くにあります。

周りが開けているので、周りの山全体へ光が広がり多くのクワガタが水銀灯の光に引き寄せられて集まります。

 

 

オオクワガタの採集できる時期と時間

 

灯下採集ができる時期は、月の満ち引きの状態で決まります。

満月の時は、月の光へクワガタは導かれてしまい水銀灯の明かりには飛んできません。

月が半月から新月か、月の出が採集時間にかからない時期が採集時期になります。

採集時間は、夜の8時~10時です。この2時間に集まってきて、周囲の明かりを移動したりして12時過ぎには森へ帰っていきます。
このため、夜は2時間が勝負の時間となります。

山奥では、明け方までいると烏が飛んできて朝御飯になってしまい、カブトムシや普通のクワガタがよく食べられています。

 

 

突如巨大犬出現

 

ダムの建物沿いの明かりを調べていると、ミヤマクワガタのメスが多くいて、オオクワガタを採集できる予感がしました。

ミヤマクワガタのミヤマは、美山、深山とも書き、自然が豊かな山間部に生息し、朝霧が出るようなところで採集できる自然のバロメーターのようなクワガタです。

Hirata(次からHという)から、急に声が掛かりました。「犬がこっちへ来ます」という緊迫感のある声でした。

朽ち木を削れる斧の様な道具を持っていたので間に合わなければ戦わないとダメかなと思って見ていると、Hが「デッデッ、デカイ!逃げましょう。この犬巨大です」と言い柵を越えて安全な位置を確保しようとしていました。

確かに大人の人間ほどの大きさです。

これは大変なことになると感じて、建物の上に登って安全を確保しました。通常ならば、捕まるギリギリの状態だったと思います。

 

 

いつまでも近づいてこない巨大犬

 

安全を確保して巨大犬の方を見ていると、まだ走ってこっちへ向かっています。

距離は20メートル以上あり、見ていてもなかなか近づいてこない超スローな走りでした。いつまでも近づいてこない、その場駆け足をしているような感じで、もう舌を出してバテまくっていました。

そして、10メートルのところで止まって怯えながらこちらを見ています。

かなりの運動ウンチで臆病犬であることがわかりました。

夜は鎖を外し放しているようです。犬小屋の前を採集のため、さっき通っているのですが、その時は寝ていて気が付かなかったような犬です。

しかし、帰り道にいるので離脱できません。建物に明かりが付いていたので声をかけると、おばさんが出てきてくれました。

「コロちゃんどうしたの。怖かったねー。もう大丈夫よ。よしよし」と言って捕まえてくれました。コロちゃんか。行動と性格にピッタリだなと思わず笑ってしまいました。

 

 

コロちゃんを後にして

 

Hが、このダムは何か不気味なんです。と運転をしながら話し始めました。

「去年の夜中、採集をして帰ろうとしたこの真っ暗な道で女性がいたので、珍しいなと思って見てみると顔がのっぺらぼうだったんです」と真面目に言います。

丁度ここです。

車を止めようとするので、また、巨大なのっぺらぼうのコロちゃんのようなのが出てくるかもしれないから、ここから離れようと思わず言ってしまいました。今考えるとのっぺらぼうなんているはずがないのでHに脅かされたなと思います。

のっぺらぼうの出るダムにいるコロちゃんは本当に足の遅い巨大犬でした。

 

 

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天然オオクワガタを求めて-山梨県韮崎一帯オオクワガタ採集記-
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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
 オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

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