戦闘のリアリティーを伝える『生きている兵隊』石川達三著

戦闘のリアリティーを伝える『生きている兵隊』石川達三著

 

 

生きている兵隊を書いた石川達三氏の視点

 

戦時中、多くの作家が従軍し、その報告が紙面を飾っていました。しかし、厳しい検閲の下、その内容は国民の戦意を高める現地報告や従軍記が主流となっていました。そんな中、石川達三氏は、日本軍の戦闘下の実態をリアルに表現したのです。そのため、発刊禁止、裁判を受けることになり、「生きている兵隊」は、なかなか日の目を見ることがなかった作品となりました。

1970年代には、戦争映画や戦場のリアリティーを知ることのできる書籍が数多くありました。
しかし、50年近い年月が過ぎた現在、日本軍の戦場のリアリティーを知ることのできる書籍がほとんど姿を消しています。

日本軍の兵士として現地で戦闘を行った方たちも、高齢になり姿を消しつつあり話を聞く機会がほぼなくなってしまいました。
子供の時、おじさん達から寝る時に「夜話」として聞けた、兵士の活躍場面や異国の地の話しも、もう聞くことはできなくなりました。

戦闘のリアリティーと兵隊の息遣いを感じ取れる「生きている兵士」は、貴重な作品といえます。

 

 

戦場地域と平和な街で行動が変わる

 

支那兵の死体がそこの景色と同化しするように地面に転がる戦場では、兵士は戦闘を行うターミネーターとなり、命のあっけ無さと儚さを感じていますが、その行動が日常となると、感じることがみな同じものになり、自我が埋没していきます。

戦闘では迷わず体が動くようになり、常に戦いを求めるようになります。

戦闘が一段落し、死体と黒煙と荒涼とした戦場から、戦闘のない落ち着いた街に入ると、ターミネーター化していた兵士は、生命を大切にする本来の自分に戻ります。

 

 

心を維持しようとする兵士たち

 

戦闘が続く日々の中で、それぞれの兵士が精神がおかしくならないように、自分と向き合い行っていることの正当性について葛藤したり、現状に迎合し自分を維持したり、大言壮語することによってストレスをなくしたり、余計なことを考えないようにして精神の均衡を保とうとします。

戦闘を求めたり、自分の死に何も恐怖を感じず行動するのは、精神の均衡を保つため、苦しまなくて済むからというものを感じます。

ミリタリーや戦闘に関係する方は、厳しい状況の中任務を達成するため、色々な知識や引き出しを持つことが大切だと思います。

兵士の血と汗と涙を感じる「生きている兵士」を一読されるのもいいと思います。

 

 

 

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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
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