40連隊の隊員によって原点に戻ることができた小倉の夜

40連隊の隊員によって原点に戻ることができた小倉の夜

 

 

死なない男からの呼び出し

 

 戦闘訓練をやっていつも生き残るので「死なない男」と呼んでいるIから、「準備ができて下に降りる時に連絡してください」と聞いていたので、部屋に荷物を置いてすぐにIとコンタクトするホテルの入り口に向かいました。ロビーからガラスのドア越しに外を確認しながら進んでいきますが、Iの姿が見当たりません。

何処にいるのかなと思いながら、外に出て見回してもIは視界に入りません。左の死角になっている方向へ進んだ瞬間、ポケットに手を突っ込んで気配を消しているIが確認できました。

私の左後ろから、「こちらです」とIが近づいてきました。私のボディーガードをする入り方として完璧でした。
Iは、プロテクションを行いながら、さらに、自分の状況把握の反応を確かめたなと思いました。

Iがもし私を狙っていたら、Iの一歩の方がコンマ早かったので、私は危険な状態になっていたでしょう。

「すでに皆集まっています」と伝えられました。以前あった時に感じたイライラ感と焦燥感の消えたIをみて、上手くいっているなと思いました。

夕食会の会場に入ると、戦闘で強そうな面々が少し緊張した感じで待っていました。

近況を話しながら、杯を交わしていくと、会が加速度で一気に盛り上がっていきます。Iを中心に多くの熱い本物を求める仲間が集結し始めていることがわかりました。連隊長時代とは比べ物にならないほどの高いレベルと意欲を持っているので、嬉しくなります。

このレベルの隊員が当時いたら、さらに強くなれたなと感じるほどの逞しさを身に付けています。

 

 

原点に戻る

 

お酒も進み、和やかに進んでいた夕食会でしたが、突然、凛とした空気に切り替わりました。40連隊の陸曹の面々が自分に正対し、キリっと締まった顔に変わっています。

そして、出てきた言葉は、
「連隊長会いたかったです」、「この日を待ち望み頑張ってきました」、「連隊長がおられなかったら今の自分はありません」と。

40連隊の陸曹の口から出てくる言葉は、一つ一つ全てに、魂がこもっていて、私の心に注がれるというより、突き抜いていく純粋な破壊力がありました。

40連隊の陸曹の言葉は、戦車砲から発射される直射弾道のように真っ直ぐに、とてつもない破壊力をもって、私の心にいつの間にかこびり付いていた錆を破壊し取り除いていきます。

彼らは、伝えたいことを、伝えなければならないことを、余計な言葉をすべて取り除き、魂を込めた短い言葉で私の心へ送り込んできます。

心を覆い尽くしていた錆がとれたからなのか、知らないうちに熱い涙がこぼれてた自分に気づきました。もしかしたら彼らの魂の言葉が、私の心を浄化してくれたのかもしれません。

すると、みんなと日々訓練に打ち込んでいた時の心が現れたのです。

何故、あの時、最強の道を目指していたのか、「こんな純粋で素晴らしい隊員たち、奴らが簡単にやられるようなことがあってはならない」、「必ず任務を達成して無事に帰ってこれる強さを身に付けなくてはならない」、「奴らとなら強さを徹底的に追求できる」、連隊長の時に倒れても倒れても自分を突き動かしていた原点が出てきたのです。

夕食会の後、全員と握手して再会を誓い別れました。

今夜は奴らにやられたなと思いながら、「みんな今夜はありがとう」と心の中で全員へお礼をいいながらホテルへ戻りました。

40連隊の隊員によって泣かされ、原点に戻ることができた小倉の夜になりました。

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
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二見龍レポート#3 『スカウト』ナイフ格闘編
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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

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