危険な状況や場所で行動する警察、消防、自衛隊は、普段身体はある程度鍛えていますが、普通の人間で構成されており、映画で活躍するヒーローのように極端に強い人間ではありません。
しかし、普通の人間なのに、なぜ、危険な場所で行動しても怪我をせずに任務を果たすことができるのでしょうか。
警察、消防、自衛隊など危険な場所で行動する組織では、どのような状態が危険であるかという知識を学び、危険な場所での行動の基本・基礎から訓練を始め、レベルが上がるにつれ、有毒ガスの検知と除染などの特定の場面を行う機能別訓練、そして、地震の発生から、災害現場へ出動し、人命救助を行うまでの一連の状況を行う総合訓練へ移行しながら、危機に強い隊員を育成しているからです。
日々、基本・基礎の訓練、機能別訓練、総合訓練を行うことによって、実際の災害対応の必要な知識、技術、行動が身に付いていきます。訓練を積み重ねていくと、いつ、何を判断して行動をしなければならないかという危機対応の感覚や対応能力も備わってきます。ここまでくると、危機管理対応のプロといえるレベルになります。
災害や危機管理の知識がなかったり、あまり身近に感じることがない生活を送っていると、「正常性のバイアス」が強く働くようになります。「正常性のバイアス」とは、「今まで地震がこの地域になかったからこれからもないだろう」、「世間では危険な状況に追い込まれる人はいてもおかしくないが、自分が危険な状況に遭遇することはないだろう」という感覚です。
「正常性のバイアス」があるため、人間は、正常な精神状態を維持できるというプラスの作用がある一方、自分には危ない状況は起こらないので災害が発生した時どう行動すればいいか考えたり、対応のための知識や物資を準備する必要はないというマイナスの方向へ誘導されてしまいます。
危険な場所で仕事をしている組織では、「正常性のバイアス」を存在させません。さらに、もっと物事を悲観的に捉えて行動するようにします。このような捉え方をする組織では、事前の準備を徹底的に行います。
危機との遭遇を回避したり、未然防止をするためには、知識と事前の徹底した準備が必要となります。
本書は、女性や子供に焦点を当て、実戦的な対応について、その場面場面で必要な行動を中心にポイントを記述をしています。
注意深く、用心深いことが大切ですが、常にその状態を維持すことはなかなか難しいものがありますが、このような行動を普段の生活で自然にできるようにすることが、危機への対応能力を高めるポイントとなります。
本書は、セルフディフェンスについては、S氏をはじめとするインストラクターチームの協力を得て作成しました。一味違う防犯について身に付けて頂ければ幸いです。
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そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。