どのような部隊が強い部隊なのか

どのような部隊が強い部隊なのか

 

 

切り返しの早い部隊

 

計画や段取りをつけて進めている時、状況の急変や敵の動きに変化があった場合、対応のためのアイデアと対処方法を発想し、新たな対応のため迅速に部隊を動かせるかどうかは、部隊の強さを見る重要なポイントとなります。

部隊行動の舵を反対に切ったり、方向転換をするために、命令・指示を幹部に出します。

命令を受けた幹部は班長へ指示を出し、班長が各隊員へどのように行動するかを伝えて準備を進めることにより、舵切りや方向転換が始まります。

チームワークと頭の切り替え、素早い行動が重要となります。急に言われても困るという意識レベルでは、行ったらやられてしまう危険な場所がわかっているのに部隊や隊員を行かせてしまい大きな損害を発生させてしまいます。

グダグタしていてとても見苦しく、強い敵に跡形もなくやられてしまい、これでは、話になりません。

 

意識レベルが高く普段からよく訓練をしている部隊や隊員は、指示を伝えるとこの場合はこうするということをいつも詰めているので、必要最小限の指示と内容で、必要以上の動きをすることができます。

自ら考え、自ら行動し、修正をしながら前に進めることができる隊員が揃っていないとできません。

切り返しの速さを見れば、普段の訓練の質と量がすぐにわかります。すぐには強い部隊は作れませんので、直向きな努力を続けていることがわかります。

 

 

出発5分前、ガタガタしない準備

 

訓練や演習場へ出発1時間程前から、おーい早く集まれ、トラックをこっちにもってこい、オーライオーライ、オッケー、早く積みこめ、装具はどうだと大きい声で指示を出し、隊員達は早くしろ、これはどうでしたっけと言いながらワイワイ頑張って準備している姿を見て、士気が高くて頑張っているねと言う指揮官がいますが、この部隊は強くありません。弱いです。強くなる方向を示さなければなりません。

普段の訓練で、隊員一人一人が如何に動けばいいかをAAR(アフターアクションレビュー、訓練の振り返り)を何度もやり、誰かがやられた場合のカバーをこの場面では、誰がやるのがいいのかをキチンと詰めては、実動訓練をやり、また、AARにより問題点を修正して実動訓練を繰り返しながら行動を完成している部隊の動きは、すぐにわかります。

出発5分前まで、ソファーに座ってゆったりしており、「5分前」の声で各人が装具点検を素早く行いペアでチェックをして、無声指揮で隊員を動かし、静かに素早く動きが小さい感じで荷物をトラックへ積み、時間通り、静かに出発できるように準備をしている部隊は、かなりのレベルの部隊です。

 

 

どうして限界を知ろうとしないのですか?

 

自然の中での行動を教えてくれるあの人が来て「毎年、熱中症にどこまでやるとなるかを確認していますか?」と聞かれました。作戦行動において、どこまでやれば、熱中症になってしまうのかは、毎年体調によって異なります。

低体温も同じですが、限界を知らなければ、体力の消耗をどこで抑えるのか、休息をどの程度取らなければならないかわからないので、命取りになります。

平常時の自衛隊では、ここまでやるかどうかは別として、あらゆる準備は、徹底してやることを隊員に躾けて下さい。返ってくる隊員が必ず増えます。

不安定の安定化を必ず行う隊員は強くなります。あの人は私に伝えてくれました。

 

 

訓練事故や怪我の少ない部隊

 

事故や怪我の多い部隊は、弱い部隊です。自分・部隊の行動限界が理解できておらず、勢いでやれば何とかなるとやってしまい、事故や怪我をします。

一つ一つキチンとやるのが面倒になり、事故が発生した後の事故調査や処分等の莫大な後ろ向きの業務量が発生することも考えずに行動してしまいます。これは、戦闘において、部隊が大きな損害を受ける要因になります。

自分の限界がわかれば、上手くいくような方法やチームの力を使ったり対策を立てて行動するか、違う方法を選択します。冷静に状況を判断し、行動できる隊員がいる部隊は、事故と怪我がほとんどおこりません。また、隊員は普段から能力限界を上げる努力をします。

「不安定の安定化」、「AARと実行動を繰り返してできるようにすること」、「自ら考え、自ら行動し、修正をしながら前に進める」ことをしている部隊は強い部隊です。

 
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
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