毎日新聞社 滝野隆浩氏から頂戴した「自衛隊最強の部隊へ ― 戦法開発・模擬戦闘編」紹介文

毎日新聞社 滝野隆浩氏から頂戴した「自衛隊最強の部隊へ ― 戦法開発・模擬戦闘編」紹介文

 

 

毎日新聞社 滝野隆浩氏から頂いた紹介文

 

 小倉40連隊の連隊長を務めた二見さんから最新刊が送られてきました。「自衛隊最強の部隊へ ― 戦法開発・模擬戦闘編」です。これ、40連隊が「実戦」を想定して、「強くなりたい」ととんでもない訓練をしてきたことの実際の記録で、「偵察・潜入・サバイバル編」「CQB・ガンハンドリング編」に続くシリーズ第3弾なんです。

 サバイバルとかガンハンドリングというテーマならマニアの人が読みたいかもしれませんし、隊員たちが強くなっていく成長物語でありますからそれなりの読者はあると思います。だけど、今回は「戦闘開発」ですからねぇ。武器の扱い方とかスカウティング技術を習得した隊員たちが、部内の、まったく太刀打ちできないとされた部隊との訓練戦闘に勝つために、まったく新しい戦法を苦心して編み出す、っちゅう話ですから。いやはや、いったいどんな読者を想定しているのでしょうか……。

 それでもシリーズ3作目を、こうやって出版社が出すわけですから、1~2作目はそれなりに売れたということでしょうか。ならば、基礎編から応用・作戦開発と進む今回のこの作品も売れるかもしれませんね。

 自分の著書にも書きましたが、二見さんは私の防衛大時代の同室の上級生で、いろいろ指導してもらいました。記者になったあとも、偏見を持たずに付き合っていただいていたのですが、20年ほど前、陸自がイラク派遣に行く前の時期、ちょうど小倉の連隊長をしていたときに「うちでおもしろい訓練しているから、書かないなら、見せてあげる」と言われて、見に行きました。そのときのことが、この本のベースになっています。

 ひとことで言えば、「本当の戦闘で、必ず勝つ部隊にする」という訓練です。自衛隊はその出自の問題から、憲法のくびきもあって、言ってしまえば「戦ってはならない」組織でした。いま聞けば冗談のような話ですが、本当のことです。とくに陸自はそうでした。

 だけど、二見さんは、いま本当に起こりうる戦闘を想定し、その戦闘で必ず勝つことを目標にしたのでした。ですから、帯にあるように「シナリオ」のある訓練など初めからしません。あと、マラソン大会とか柔剣道大会にも力は入れません。実戦あるのみでした。

 そんな部隊は、当時、異例中の異例でした。全国の部隊訓練をみてきた私ですが、40連隊の訓練を見て衝撃を受けました。そして「ここで陸自組織の革命が起きている」と思ったものでした。「勝つ」という目標があり、それに必要な「作戦」があり、それに必要な「基礎スキル」というものを演繹的に考えると、いままでの陸自の訓練とはまるで違うプログラムになっていったのでした。

 40連隊だけとは言いませんが、この部隊などの革命があったからこそ、陸自はイラクという「戦地」でオペレーションを完遂することができたと、私は信じています。そういう意味では、異例であったけれど、40連隊が革命を起こしたのは、歴史の必然であったわけです。

 シロウトさんには、まったくわからない読み物だと思います。だけど、必勝の部隊をつくろうとすると、世界じゅうどこでも、こういう考え方で組織というものはつくられていくのだなというプランニングの教科書として読めるかもしれません。そして個性ある幕僚たち、小・中隊長たちが実名?で出てきてわくわくします。シリーズ最初から、ぜひ、読んでみてください。ちょっとだけ、おすすめします。

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-戦法開発・模擬戦闘編: 敵の戦闘重心を打ち砕く勝つための戦い方
自衛隊最強の部隊へ-戦法開発・模擬戦闘編: 敵の戦闘重心を打ち砕く勝つための戦い方

 

 

 

 

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