強い意志を持って進めなければならない『分水嶺の戦い』

強い意志を持って進めなければならない『分水嶺の戦い』

 

意志を強く持ったものが勝利を掴む

 

 自衛隊で敵と味方が自由に考え戦うシミュレーション訓練や実動の戦闘訓練を行うと、必ず経験することは、分水嶺の戦いです。

 分水嶺の戦いを乗り越えるためには、意志を強く持ち、進めて行く行動を止めてはならないことが重要となります。

 分水嶺の戦いは、施策を可能な限りいくら打っても相手も同じことをしているのでどちらかに傾かず動かない状態です。

 ここで動きを止めた瞬間に一挙に敵に押し込まれてしまう、勝ち負けが決定する状態でもあります。

 お互いに色々な策を講じて相手に挑み続けているものの、両者がひるまず効果がないように感じてしまうため、精神的にどちらもかなりきつい状態になります。

 そのため、心を強くして前に進む策をさらに講じ、味方を奮い立たせ押し込むことが重要となります。

 

分水嶺の戦いを制する

 

 敵に何度も技を仕掛けても、頑として敵は踏ん張るように感じてしまい、このままでは自分たちの損害が大きくやられてしまうのではないかと感じるようになってしまいます。

 敵も、予備部隊を投入して同じように戦っていることを認識することが重要となります。

 一番注意することは、「勝てないのではないか」という意識が次第に拡大していき、モチベーションが低下してしまう状態です。

 さらに精神的に圧迫されてしまった場合、自ら崩れてしまう可能性があるからです。

 ここでは、仲間を信頼し、力を合わせて敵を打ち破る雰囲気を作らなければなりません。

 この時こそ、敵に対して、第一線、砲兵部隊、補給部隊など、全縦深同時打撃を継続して押し込まなければなりません。

 苦しい状態でみんなで一歩進める行動が敵の踏ん張りを打ち崩すことができるからです。

 反対に、ここで押し込まれた場合、一挙に押し込まれてしまい、ここでの負けは取り返しがつかなくなります。

 

敵が崩れたら戦果を拡張する

 

 分水嶺の戦いに勝利して、いったん休むために停止してしまうと、次の動き出しまで時間がかかり、戦果を拡張しにくい状態になります。

 敵に対応のいとまを与えたり、態勢を立て直す機会を与えてしまうからです。

 そのため、分水嶺を超えても、もう一歩踏み込むことが、作戦に大きなプラスの影響を与えます。

 一歩踏み込んでおくことによって、次に進めるための気づき得ることができます。さらに、具体的な道筋が得られるため、前進速度を加速させることができます。

 

敵が崩れたら戦果を拡張する

 

 防御戦闘では、防御の弱点を常に補強を続けながら、敵のほころびを見つけては火力による打撃を繰り返します。

 半日後、1日後、数日後~1週間後の戦闘の状況を予想して、危険な状況が発生しそうなところへ次々に手を打っていきながら、敵の戦闘力の状況、弱点を探し出し削っていきます。

 将来の攻勢に転じた時の作戦も併せて準備を進めるため、冷静で我慢しながら着実に手を打っていく状況が続きます。

 そのため、自分たちの部隊・隊員の士気を高めること、アイデアを出して苦境を乗り切る雰囲気を作ることが重要になります。

 そして、戦況が変わる分水嶺の戦いが味方に有利に違づき始めると、それまでほとんどなかったプラスの報告が、ぽつりぽつり、注意していないと見逃しやすいような小さな兆候が入ってきます。

 しかし、分水嶺を超えると、一挙に流れは変わります。その時に攻勢の準備をしていないと、出足が悪くなってしまい、勝ち切るタイミングを逃してしまいます。

 分水嶺の戦いは、厳しい状況が続きますが、どちらかへ傾いた瞬間に、勝敗が決定してしまう戦いです。 


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