人前で話す機会は、仕事や上司、部下、朝礼、プライベートなど以外に多いです。
話す内容も、商品の説明、自衛隊では装備品の取り扱い、上司への報告、部下への指導、懇親会での会話によって色々変わります。
その時、常に考えることは、「上手く話したい」ということではないでしょうか。上手く話すとは、引っかからずに立て板に水が流れるように話すということなのでしょうか。
一般的な印象を考えればそうかもしれません。では、なぜ話をするのかという視点で考えると、捉える方が変わってきます。
伝えたいことを相手に話し、理解してもらうために話をするという話をする本質的な目的が見えてきます。
そうすると、淀みなく喋るというのは、目的を達成するための手段、方法になります。
淀みなく話すことができたとしても、相手に話を聞いてもらい、理解してもらえるのかという問題があります。
話を聞く側がどのような状態なのかを考えないで話しても、話自体を聞いてもらえないからです。
話を聞く側が、あなたの話を聞きたいと思い、理解できるように話すことが重要になります。
すらすら話すことが、理解を容易にするとは限りません。聞きやすいのは確かなのですが、聞く気になるかというと別問題です。
話す側としても、上手く話せたとは、すらすら話をできたのではなく、話を良く聞いてもらい理解され、その人へ影響を与えることができたかが重要になります。
たとえば、立ったままの状態で、10分以上話を聞くというのは、よほど聞く側に興味がない限り、聞く側からしたらきつい状態になります。
次は話しの内容についてです。
伝える内容が5個以上あった場合、全部理解できるでしょうか。
その前に聞く気が持続できなくなります。聞く側が聞きたいと感じている時は話し手の言葉を吸収します。
一方、話す側は、せっかくの機会でもあることから、この際色々伝えてしまいたいという誘惑にとらわれます。
この誘惑にとらわれてしまうと、パワーポイントの枚数も多くなり、質疑応答の時間もないほど説明に時間を要してしまいます。
当然最後は早足になってしまっているので、聞く側にしても頭にほとんど入ってきません。
多くのことを伝えようとしても、相手に伝わるかがポイントになることがわかります。
最初のポイントは、相手があって行うものです。
相手の状況に合わせた話をすることが聞いてもらい吸い込むことがポイントとなります。
軽いジョークやトピック、会社や相手に関して気が付いたプラスの内容など、最初の一言は相手が好意を持つか、聞きたいと思うか、導入になるためとても重要となります。
噺家やコメディアンが工夫をしているところです。
そして、場の雰囲気をよく観察して話を展開していることがわかります。
話は、多くのことを伝えようとしないこと、伝えることが決まったら、話す内容の核の部分が出てくまで余計な部分を削り取っていきます。
聞く側の心へダイレクトに響く内容となり、本当に伝えたいことが認識でき、時には再発見することができます。
話は、うまく喋ろうとするよりも一生懸命伝えようとすることによって、聞く側の心に言葉が注ぎ込まれていきます。
多少噛んでも人間らしくていいと思うと緊張せず、自然な形で話ができます。
練習は、パートナーや家族に聞いてもらい、わかりやすいところ、わかりにくいところ、頑張っているところ、良かったところなどの感想を聞きながら修正していくと、さらに良くなるでしょう。