電動ガンからガンハンドリングを学ぶ

電動ガンからガンハンドリングを学ぶ

※本記事のアイキャッチ画像は、永田市郎様から頂いた画像を使用致しました。

 

厳格な統制をする実弾射撃

 

至近距離射撃が導入されるまで実弾射撃は、射撃訓練場で厳格な統制のもと実施していました。厳格な統制とは、射撃を行う地域(射座)に向かう時から安全な状態の銃の銃口は標的の方向へ向け、射座では銃口を標的の方向以外振ってはならない基本射撃を実施していました。射撃場の規律をきちんとすることによって事故を確実なくすことができます。

駐屯地内や演習場の訓練では、実弾は使えないので、空砲を使用します。現在は改善されましたが、空砲も至近距離で銃口の前に手を出していると大きな怪我をします。そのため、空砲を取り扱う時は、安全を確保するためきっちりとした安全確認や指導をします。

 

 

弾の出ない銃

 

それ以外の時は、弾倉を付けない銃を持つて戦闘訓練や作業などをします。ほとんどの状態は弾の出ない銃を持って行動しています。何十年もこの状態を続けていると通常の銃の取り扱いの時、実弾射撃をする以外銃口から弾は飛び出さないものだという感覚が染みついて広がっていくのは自然な流れかもしれません。

いつでも実弾を装填している状態での銃の取り扱いや戦闘動作をするという感覚は薄れてきていると同時に国際貢献活動が始まり、銃自体をとられたり掴まれないようにしたり、銃口管理を確実にしなければならない銃の保持がとても重要な地域での活動が始まります。

この時から、ガンハンドリングの重要性が認識され、教育訓練で広がっていきます。しかし、国内では実銃は実弾射撃以外は弾が出ないという感覚がなかなかとれません。国際貢献活動では射撃場のように銃口管理を厳密にするようになりましたが、日本国内の訓練では、弾の出ない感覚が引き続き残っています。

 

 

弾の出る銃

 

テロ・ゲリラ対処や市街地戦闘訓練が盛んになるにつれ、ガンハンドリングの重要性が普通科連隊クラスから広がりを見せます。89式の電動ガンも普及が始まります。

電動ガンは、顔面の防護特に目は必ずグラスをする必要がありますが、何時どこでも射撃訓練や戦闘訓練ができます。弾倉が付いていれば必ず弾が出る状態になり、電動ガンの銃口をしっかり管理していなければ周りの人に危害を加えてしまう可能性があります。また、いつものように安心しきって弾の入っていない実銃のように扱ったり手入れをしようとする時、自分を撃って怪我をすることもあります。

 

 

隊員の言葉

 

隊員達が言った言葉が印象的でした。

「電動ガンは弾が出て危険なので気を付けなければなりません」

「その点実銃は普通は弾が出ないのて危なくありません」

電動ガンは実戦を意識した訓練を進めることのできるアイテムとして活用することが重要であると考えています。そして、電動ガンでできることは実銃でもできるようになるので、レベルを上げたり、難しい訓練に使用するのもいいと思います。

 

 

人間系安全装置

 

銃の安全装置は、銃自体の機械的な安全装置と銃を扱う人が必ずやらなければならない人的な安全確保があります。機械的な安全装置よりも人による安全確保は最低複数あり、レベルが高い状態になればなるほど、人間系安全装置の重要性が増加します。電動ガンは、この種訓練にも大いに活用できると思います。

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成

 

 

 

 

 

【kindle本が出ました】

 
 

二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る

 

 

 

二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談

 

 

 

40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術

 

 

本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準

 

 

『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
 読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界

 

 

オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
 オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~

 

 

マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
 本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

関連記事紹介

1 Comments

  1. Pingback: 二見龍レポート11『世界標準の訓練をささえるOTS』 | 戦闘組織に学ぶ人材育成

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です