直感を信じるか、信じないか

直感を信じるか、信じないか

 

 

試験の時に初めに書いた答えを大切にする

 

試験の時に最初に書いた答えを見直しの時に、色々迷って変更したら、最初の答えがあっていたという経験を皆さんしたことあると思います。このことを親に話すと、「昔から、最初の答えが大体正しい事が多いので書きかえると、失敗するのでやめた方がいい。人間の直感は大切よ」と母親が話してくれました。

試験の時の直観は当たるので大切にすることを知りましたが、何故なのかわからないまま、自衛隊へ入り、戦術の教育を受けると今度は違うことを習います。

 

 

直感に頼っていたら戦いに勝てない

 

戦術教育では、現在から将来にわたる状況を分析し、考えを理論的に進めていき、戦いで勝利する方策を得ることを学びます。

戦術は、幹部のお家芸と言われ(最近は聞かなくなりましたが)戦術のできる幹部は一目置かれます。

陸曹以下は、戦術ができないので部隊の運用はできないと、幹部と陸曹との違いを明確にします。戦術の基本は、教範です。

幹部は、各種教範から戦いの原則や戦闘要領を学びます。どのような戦いをするか議論をしている時、「普通科運用の教範には、このように書いてあるから、こうすべきである」と教範事項を持ち出すと、「そうだな教範に書いてあるから、それでいこう」となります。

戦闘のベテランである陸曹が、戦闘に関して意見具申しても、「教範にはない事項なのでダメだ」、「直観的なものではだめだ、戦術を理解して論理的に考えなければならない」とせっかくの陸曹のいい意見を潰してしまいます。

経験の不十分な若手幹部がベテラン陸曹に突っ張る心のよりどころも戦術で、戦術のおかげで何とか体面を保つことができます。

戦術教育では、直観は許されず、理論的に物事を進めていくことを重視して教育を受けます。いつの間にか、直観は良くない事であるという感覚が刻み込まれていきます。

 

 

直感は正しいものだ、信じろ

 

師団の3部長をしていた時、訓練検閲や部隊の練成に関する計画の指導が終了した後、師団長から、「3部長は直感を信じるか、重視するか」と問われ、試験の時の話と戦術教育の話をすると、読書好きで物事の本質を追究することの好きな師団長は「直観は正しいものだ、信じなければならない」と返ってきました。

師団長は師団長室のソファーの方に移動して、私もこちらに座れと言い、話し始めました。

物事に直面したり、決断しなければならない時に、直観として浮かび上がった考えや感覚は、論理的に分析したアイデアよりも優れているものである。

直観は、今迄学んだ知識と経験が蓄積せれ、自分のものになったデーターベースから、瞬時に演算処理をされて出てきた答えである。その人物の持っている能力をフル回転して出てきたものなので、直観を大切にしなければならない。

論理的な思考をする人として知られている師団長から、思いもよらない答えを聞いた感じでした。どちらかというと、直感で判断する人間は、考えが浅いとか、論理的ではないと話が進むと思っていたので意外でした。

その分、直観の重要性に関する説明は説得力抜群です。また、ぼやっとしていた部分がクリアになった感じでした。

 

 

満足する師団長の癖

 

師団長は、満足する企画を作ったり、訓練を実施すると煙草を持って、なかなか吸わないでトントンする癖があります。その時もトントンしながら、直観について話をしてくれました。満足する仕事をするとソファーで貴重な話をよくしてくれます。嬉しそうにニョホニョホしながら多くの事を教えて頂きました。

直観という言葉が出てくると、ソファーに座り、嬉しそうにニョホニョホしている師団長を思い出します。

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成

 

 

 

 

 

【kindle本が出ました】

 

 

二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る

 

 

 

二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談

 

 

 

40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術

 

 

本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準

 

 

『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
 読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界

 

 

オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
 オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~

 

 

マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
 本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

関連記事紹介

2 Comments

  1. Pingback: 奥の手を5つ持ち、相手の心と行動をコントロール下に置いて戦う方法 | 戦闘組織に学ぶ人材育成

  2. Pingback: 迷った時はどちらを選ぶか | 戦闘組織に学ぶ人材育成

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です