凶と出るか、吉と出るか-10中8、9痛い目にあうのか-

凶と出るか、吉と出るか-10中8、9痛い目にあうのか-

 

 

凶の出る場所

 

初級幹部の頃、京都の宇治、大久保駐屯地で勤務をしていたので、休日となると奈良・京都・滋賀の名所旧跡を思う存分同期と回り楽しみました。
「京都を代表する清水寺に行こう」ということになり、やっぱり素晴しいところだなと感心をしながら、清水の舞台にあるおみくじを軽い気持ちで運だめしをしてみようと思い引いてみると、

なんと!!見たこともない、生まれて初めての「凶」が出ました。

普通、凶はめったに出るものではなく、大吉よりも運がいいなどといわれますが、いざ引いてみると凶は独特の凄みのある凹型をした文字で、心が一挙に不安感でいっぱいになります。

一緒に勤務していた同期は、「吉」を引き、私に「まあ気にするな」と言いますが、気持ち悪さが取れないまま木に結び付けました。

滝から3種類のありがたい水を飲み、少し気分が明るくなったのでもう一度引くことにしました。今回はよく振ってお願いしますと念じながら出てきた棒に書いてある数は「77番」です。

ラッキーセブン2つはいいだろうと、おみくじの紙を出してくれるおばあさんに渡すと、おみくじの中身が見えないように裏返しに渡してくれる時、薄い紙なので細かい字は見えわかりませんが、透けて大きな大という字が確認できました。やっぱり大吉か、と思いながら開くと、とんでもないものを引いていました。

「大凶」です。

見たことも引いた人の話も聞いたこともありません。ここは自分にとってヤバイところではないかと、速やかに離脱しました。実際手にすると、とんでもなく不安にしてくれます。

おみくじはもうこの時から引いていません。

 

 

大凶から数年後

 

大凶の次の年にめでたく結婚ができ、偶然か、必然なのか妻が清水寺の2年坂と3年坂を散策して京土産を買いたいという希望があり、大凶以来封印している清水寺に足を踏み入れることと、おみくじには手を出さないことを解禁することになりました。

2年坂と3年坂は女性好みのお土産屋が多く、美味しいものも食べれるので、見て回るだけでも楽しめるところです。いつの間にか清水寺へ行く不安感も坂を上がっていくうちに朗らかな気分に変わっています。

滝で3箇所(今は3箇所飲まなくても1箇所でご利益があると書いてあります)の水を二人で飲んだり、記念写真を撮ったりして満足したところで、5年振りに清水の舞台のおみくじにチャレンジすることにしました。

結婚して運も変わったかなと引いてみると、ゾクッとする凹凸の凹の形をした「凶」がまたしても顔を出し、「あら、珍しい凶って本当にあるんだ」と言っている家内の手をとり、おみくじの内容も確認せずに木に結んで、清水の舞台から離れるため坂を下っていると、「キャッ」と家内が足を滑らし尻もちをつきました。スローモーションのように家内が持っているカメラの紐を支点に絵を描いたように、カメラがブーンと回転し地面に激突してどこか壊れた音がしました。調べるとシャッターが動かなくなっています。速やかに清水寺から離脱しました。

次の年、指揮幕僚課程の試験に合格しました。

 

凶と出るか、吉と出るか-10中8、9痛い目にあうのか-

 

 

25年後の京都清水寺

 

妹の長女の結婚式が加古川、神戸であり、久し振りに家族で関西へ行きました。新郎はお寺の住職のため、結婚式は仏式で行われ、ほとんどの儀式でお経が読まれる初めての体験をしました。仏式では数珠の交換をするのを知りました。

その夜2次会、3次会と大いに盛り上がり、次の日は妹夫婦と朝食後、早めに京都へ移動し名所旧跡を訪ねることにしました。

偶然なのか必然なのか息子から清水寺に行きたいという要望と、家内の2年坂と3年坂を散策したいという強い希望があり、25年間封印していた清水寺へ足を踏み入れることと、おみくじの解禁です。

雨の煙る色々な緑の新芽の色が混在して美しい新緑の清水寺は趣があります。滝から水をとる長い柄杓を使う外国人が多くなっているのと、使用後柄杓を殺菌のできるところへ戻した後に次の人が使用するようになっています。一部改修をしているところがありますが、素晴らしい建造物である事を再確認しました。

清水の舞台では雨が少し強くなるなか参拝をして、おみくじをよく振ってチャレンジすると「48番」です。番号としてはそんなに悪くない感じです。おばさんが二つ折りにして、中身が見えないようにして渡してくれます。

この時、おばさんはわざわざ中身が見えないように二つ折りにしたのではないかとピンときました。そして手に取る前に透けて見えた大きな文字は、凹の字に似ています。開くといつもここで見慣れている「凶」です。中を読むと内容的に限りなく大凶に近い凶という感じで、10中8・9悪い事が起こると最後の方に書いてあります。

息子も凶を引いていて、10中5・6悪い事が起こる程度で、限りなく末吉か小吉に近い内容でした。
近くで若い女性が「アー凶が出ちゃった。お守りいっぱい買おう」と言っています。

それを聞いて、家内は「こうやってお守りを沢山買ってもらうようにしているのね」と一人納得しています。

色々な捉え方がありますが、人生の結節時に清水寺にきているような感じであり、新しい扉が開く時でもあるような時期に足を運んでいるのが清水寺のような気もします。

4打数4三振なのか、4打数4安打1ホームランなのか、わかりません。

一つ決めたのは、おみくじは清水寺以外は引かない事です。

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
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【kindle本が出ました】

 
 

二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
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二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
 読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
 オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
 本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

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2 Comments

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