自衛隊の入隊試験官をやって感じたこと -受かる人材と落ちる人材-

自衛隊の入隊試験官をやって感じたこと -受かる人材と落ちる人材-

 

 

高卒をとるか大卒をとるか

 

都道府県に所在する自衛隊地方協力本部が筆記試験と面接を実施して自衛官の採用業務を行います。学歴を優先する傾向は以前に比べて少なくなりましたが、高卒よりも大卒優位という見方は、一般社会の傾向と同じ程度自衛隊員の採用でもあります。幹部候補生を除く自衛隊隊員の採用時の面接では、大卒優位という環境ではあるものの、高卒の良さが光ります。

自衛隊入隊後、今迄の生活にはなかった時間に追われる団体生活、ある程度厳しさのある訓練や間合いの近い濃い人間関係を四六時中経験します。こんな経験したことのない毎日の中、チームに貢献したり、チームの中に入って自分勝手に行動せず団体行動を行わなければなりません。純粋な心と色々な事を受け止められる素直さ、踏ん張れる我慢強さが必要となります。

大学の4年間学ばず、運動もせずに遊んでしまった人と、高卒の純粋で素直、部活や生徒会をしっかりやってきた人、どちらを選ぶか答えは明白です。

将来の進展が期待できる高卒の人を採用します。

 

 

高校3年間部活をしっかりやってきた人間を評価する

 

高校時代部活ばかりやっていてあまり勉強しなかった人と、遊んでしまった少し頭のいい大卒の人の筆記試験と面接の点数があまり変わらなかった場合の判定の考え方について説明します。

当然組織にとって有用な人材であるかどうかが判断事項となります。

三年間部活を頑張ってきたり、生徒会活動を行ってきた高校生については高く評価します。部活は、体力的にきつく、夏の練習は歯を食いしばりながら頑張らなくてはなりません。

部活を通じて、レギュラー争いの厳しさを体験し、チームメートとの信頼感や団結、仲間の素晴らしさを経験します。

武道などの個人競技では、毎日が自分との葛藤と自己管理をする生活を送ります。

部活をしっかりやってきた高卒の人は、運動をしていない人よりも、団体行動へ順応しやすく、我慢強さも備わっているため、自衛隊生活に適合し、自衛隊での団体活動の中で活躍が期待できる素養があります。

生徒会活動についても、多くの経験や組織を動かす経験や難しさを体験する三年間を辞めずにやり抜く情熱と我慢強さ、組織を動かす要領を学んでいるので、自衛隊で必要とするタイプになります。

 

 

大卒の人に望むもの

 

大卒の人は、人間的な器が基本的には大きいので、順調に成長することができれば、自衛隊にとって重要な人材になります。

ここで注意するポイントは、最初に差があっても、5年、10年が経過していくと差が無くなってしまうばかりでなく、ひっくり返り大きな差が発生してしまうことが当たり前に、普通に起こるということです。

最初、50ポイントで毎年の成長が10ポイントのAという人と、最初は25ポイントですが、毎年15ポイント以上成長するBという人を比較すると、3年程度でAとBが並び始め、5年を過ぎるとBが追い抜き、ドンドンAに差を付けていきます。

毎年の成長の差は、その人の持っている「素直さ」と「仕事に対する情熱」により生じます。
「素直さ」は、多くの事を学ぶ基礎であり、吸収する力となります。

素直さを持っている人は、人の話や行動、目標となる先輩の性格自体まで自分のものにできます。そして、多くの事を吸収し、自分の中で練り込み自分独自のものにすることができます。

「情熱」は、物事をやり遂げるモチベーションとなり、目標を達成するために、色々なアイデアを生み出し、仲間と力を合わせ物事を進めたり、上司をも説得する活動の根源となります。仕事をする上で、「情熱」のない人は必要ないといわれるほど大切なものです。

大卒の人は、元々の高い能力を更に発展させる「素直さ」と「仕事に対する情熱」を身に付けることにより、将来の進展性が高く有用な人材となります。

このため、4年間遊んでしまったり、妙にスレてしまった人は必要としません。

 

 

成長を常に考える

 

現在の状態での勝負だけではなく、5年、10年、15年先の自分の成長した姿をイメージし、如何に毎日積み上げながら成長して力を付けていくかをイメージして過ごしている人は、面接を開始して3分もかからないうちにすぐわかります。

将来の進展性を期待できるタイプを自衛隊では常に捜しています。

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成

 

 

 

 

 

【kindle本が出ました】

 

二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る

 

 

 

 

 

二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談

 

 

 

40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術

 

 

本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準

 

 

『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界

 

 

オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~

 

 

マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

関連記事紹介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です