目的達成のために己を捨てる覚悟と相打ちの技術を持っていれば、たとえ戦闘能力や力の差があった状況でも、自分もやられますが、相手も必ず倒すことができるので負けはありません。相打ちへ持ち込むことのできる人は、実戦で強さを発揮します。
相手に対して身体を腰から当てる思い切った飛び込みと勇気、そのタイミングのとれる人は、戦闘スピリッツも含めとても手強い人間です。
戦いの世界では、時に自分より能力の高い敵と対戦しなければなりません。長い間かけて育成してきた高い戦闘能力を有する戦闘員を、能力が劣り、経験の浅い戦闘員で倒すには相打ちが必要となります。
相打ちを覚悟した動きは、自分よりも強い相手に油断をしたらやられるというプレッシャーをかけるので、敵の戦い方に大きな影響を与えます。
相打ちには、勇気と強い心とともに、任務の達成や作戦目的の達成という強い使命感が必要です。使命感が、必死に行動する原動力となります。
相打ちは、戦う者にとって当然できなければならないものです。戦闘のための引き出しに必ず持っておかなければなりません。
極真会空手の高弟黒崎健時は、「一番強い状態とは、命を捨てた者であり、喧嘩をして勝つのは、先に命を捨てたほうだ」といいます。更に、黒崎健時は、「不意打ちや奇襲で相打ちをする人間は避けることはできない」と著書「必死の力・必死の心」で書いています。
相打ちを知っているか、できるかどうかは、戦いに非常に重要であることがわかります。
センスが良く呑み込みの早いタイプは、戦闘訓練を始め、格闘技、仕事など色々な技や業務がそんなに時間をかけずにできるようになります。
空手でいうと型が急速に上手になるイメージです。試合形式の組み手をやっても急速に伸びますが、強さを身に付ける段階になると伸びが無くなることがあります。
強さを求めるようになると、自分よりも弱い相手よりも、同等か自分より強い相手との戦いが多くなります。
この時、相打ちに持ち込めるものを持っていないと話にもなりません。いくらセンスが良く、器用な人間でも相打ちができる程度の心の強さがないタイプは伸びが早く止まってしまいます。
相打ちの心はとても重要です。敵が相打ちを狙ってきた時、相手の気迫に押されたり、飲まれてしまい普段の力も出せなくなります。
更に、相打ちでやられるのが怖くて戦いをせずに下がってしまいます。弱い心では戦いに勝てません。
格闘技の試合で、相打ちを狙っている相手とは、完全に相手を上回る実力差があるれば勝ちを狙いますが、相打ちを受けきれない場合、自分も相打ち勝負に持ち込み、相手の心が折れるまで相打ち相打ちを続け、崩れたところを一挙に攻めます。
相手より自分の方が強い時、相手に対して相打ちを狙うと、相手は技が出せなくなります。
自分よりも強い相手に対して、相打ちを狙って向き合った場合、強い相手も簡単に技を出すと相打ちに持ち込まれてしまうので、技が出せなくなってしまいます。
相打ちは、訓練や練習をしなければできるものではありません。相打ちのできる人は、相打ちを狙う相手の動きをある程度読み、事前に防止することも可能となります。戦う者は最低限相打ちができなければなりません。
黒崎健時は言います。「自分を犠牲にして相手を狙う鉄砲玉は、ガードをする人がいない限りよけきれない」相打ちは、必殺技でもあります。相打ちという必殺技を持っていない人は戦いではなかなか勝利を掴むことができません。
追記
相打ちについての関連記事を参考にして下さい。
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桁外れに強い相手を相打ちに持ち込み勝利を掴んだ戦いてです。
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