第2回戦闘競技会 -凄い男hidakaが2回戦で消える-

第2回戦闘競技会 -凄い男hidakaが2回戦で消える-

 

この記事は、「相手を全滅する男」(第1回戦闘競技会)をご覧になってから読むとより楽しめます。Hidaka(仮称、以後H)の凄さがわかります。

 

 

第1回戦闘競技会の振り返り

 

第1回戦闘競技会が終了した後、小隊長を含め、連隊長も集まる「AAR(アフター・アクション・レビュー:振り返り、研究会)」で小隊の作戦や戦法を紹介しました。これは、公開することによって、多くのことを学び作戦や戦闘技術の発展につなげようと考えたからです。

更に、戦法の開発という目的もあったからです。

戦いの原則は「戦力の集中」にあると自衛隊の教範にあるため、多くの小隊がここぞという時に敵より多い隊員を集中させて、数の力(火力の量)で勝利を獲得することを若い時から学び、素直に戦闘競技会で実行しました。

しかし、Hのいる小隊は、一人一人がバラバラに行動して敵に見つからないように敵の周りを囲み、その円の中へハンターであるHが一人で入り、敵を倒していきます。

Hから逃げようとした敵は周りを囲んでいるメンバーに仕留められるという戦法です。

この戦法を皆が聞く前は、教範事項に無い戦い方で参考にならない、やはり原則事項で戦法を組み立てるべきであると、口にする者が半分以上いてなかなか負けを認めない感じでしたが、内容を聞いてるうちに皆が氷ついていきました。

高度な戦闘技術とチームワーク、質量充実した訓練をして初めて可能となる戦法です。戦闘員のレベルがまず段違いであり、凄い小隊を訓練で作り上げていたことが判明しました。

ほとんどの部隊が、全試合ほぼ全滅している事実もあります。

更に多くのことをHはやっています。

一例として、小隊長は通信機を持っていてアンテナが背中から1メートル空に向かって伸びています。

戦闘が始まるとHは敵の小隊長が来そうな場所に先回りして景色の中に飛び出しているアンテナを探し出し、見つけるとスルスルと音もなく近づいて一瞬で小隊長を倒します。

戦いが始まる前にリーダーであり、指揮・命令を出す小隊長がやられてしまい、部隊が混乱している時に次々に敵を倒していく方法もとっていました。

 

 

対Hidaka作戦

 

AARが終了すると、ベテランの幹部はこれを破れるかなという重い感じになっていましたが、若い20代~30代前半の幹部は「面白い」来年は必ず倒してみせるという感じでキラキラしているのが印象的でした。

ほとんどの小隊は安定した力が発揮できるベテランが小隊長として選ばれていて、若いメンバーは、体力任せで詰めが甘く、誰も1回戦を突破できないのが現状です。

ベテランは、Hidaka戦法を破るための訓練の積み上げをする厳しさと困難さにややモチベーションが低下しましたが、若手は、「こういう戦い、訓練がやりたかったんです」と燃え上がりました。

Hidaka小隊の戦法を各部隊が再現することから、対Hidaka作戦の検討が始まります。

ここから解ったことは、隊員全員の体力と走力が高く、高度な射撃能力があることでした。

再現するだけで、戦法を支える隊員の強さと厳しい訓練の積み重ねがすぐに解かり、隊員一人一人が、自ら情報を収集しながら、状況を判断して行動を修正しながら動ける状態までなっている必要があることもわかってきました。

小隊が敵の行動に対して柔軟に対応できるレベルまで作り上げられていました。

まず、小隊員の育成と選手の選抜要領から変えていかないとなりませんでした。

この結果、第2回戦闘競技会は、90%近くが若手の小隊長になっていました。

各連隊は、戦闘競技会の小隊を決めるため、連隊内でも小隊同士訓練をしますので、体力と柔軟な思考のできる各部隊の若手が連隊内でベテランを打ち負かして勝ち上がってきました。

 

 

第2回戦闘競技会の結果

 

第1回戦は、同じHidaka戦法を使う小隊との試合です。小隊と小隊は戦法が同じなので同じ行動と速度で動いています。戦闘競技会に出る小隊長の無線機のアンテナは全て上に伸びて見つからないように工夫されています。

お互いに有利な態勢を取る位置取りをして時間が過ぎていきます。結果はHの性能の良さの差でそんなに差はつかずに、Hidaka小隊が勝利しました。

負けた小隊の連隊長が、データー的には去年のHidaka小隊の1.2倍の能力を持つまで鍛えたが勝てないということは、彼らは更に訓練をしたんだなとポツリと言いました。

第2回戦は、25歳の若い小隊長のチームです。彼は、私に演習場で会った時、「今年の正月は皆でずーと演習場で戦法を磨きました。見ていて下さい!」と嬉しそうにキラキラと輝きながら話してくれました。

競技開始から、10分後統裁本部から、「Hidakaダウン」と声が聞こえてきました。

また、新たなものが作り上げられたなと思いました。

 

 

 

 

 

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