国が繁栄し、社会に冨があふれ、生きることが容易になり、困難や試練に直面しなくなると、今の状態を当たり前のようにみなす意識が広がり始めます。挑戦者の持つハングリー精神やチャレンジ精神、すぐに行動しようとする精神は、はけ口を失ってしまい、足の引っ張り合いや狭量な対立が始まります。
以前は生産的な活動に使われていたエネルギーが後ろ向きの方向へ使われるようになります。この環境では、次世代を担う若い人達の中にも、受け身的な状態をよしとする風潮が広がっていきます。
そうなってくると、多くの人達が、居心地の良いコンフォートゾーンから抜け出せないばかりか、更なる深みにはまっていく状態となります。
変化の速度が増している環境では、どのくらい素早く学習できるかが重要となります。これは、多くの人の知恵や協力を得て、新しい分野において、自ら学び行動しながら成長を続け、ベテランよりも素晴らしいものを作り上げるルーキーの長所といえる部分と同じです。
素早く学習ができる要素は、「好奇心」、「謙虚さ」、「遊び心」、「計画性」があり、この4つの要素を持ち素早く学習できるタイプは、将来実力を付け、活躍が期待できるタイプです。
また、ベテランが、4つの要素を保有していると、経験豊かなベテランの味とルーキーのような躍動感のある行動が可能となり、融合することによって、より威力を発揮します。
そして、また、このベテランは、居心地の良いコンフォートゾーンから抜け出せるタイプでもあります。
今の早い環境の変化の中を生き抜くために必要な意識は、変化の速度が増している環境を乗り切ることのできるルーキーの意識が必要です。
企業で研修を行っても効果がない原因は、研修を受ける者が、上っ面しか課題に取り組んでおらず、学ぶ態勢ができていないからです。人が学習する態勢になり、新しいスキルやアプローチを学ぶ意欲を持ちやすいのは、
「未経験の役割に就くとき」
「手ごわい課題に取り組むとき」
「手痛い失敗をした直後」
「目を見張る経験をしたとき、見たとき」
「キャリアで次のレベルに進むためにどうすればいいか見えないとき」です。
このような時に研修を行うと効果的であるといえます。また、このような状態に置かれると、人はルーキーとしての行動を取り戻します。
心地良いコンフォートゾーン自体が消滅したり、コンフォートゾーンの外に出なければならないからです。
ピンチは、力を付ける絶好のチャンスを与えてくれます。
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。
そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。
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