鳶(トンビ)から学んだ”気配が消える”

鳶(トンビ)から学んだ”気配が消える”

 

 

ハンターの技を知る人

 

今回は、横須賀の海岸で気配について学んだことを紹介します。

三浦半島は、トンビの多い自然豊かな、穏やかなところです。三浦半島で勤務をしている時は、家内と鎌倉や江の島へ行ったり、三崎港へマグロを食べに行ったりとなかなか味のある楽しい休日を過ごしました。

海岸が官舎の目の前にあるので、海岸を歩きながら焼き立てパンを朝買いに行き、海を見ながら遠くの景色を二人で楽しみながらの朝食ができます。

磯の岩場に座って、頭上を飛んでいるトンビを見つけて、先日保険屋のお姉さんから聞いた話を思い出しました。

「futamiryu聞いて下さい!、笑うに笑えないんですよ」とお姉さんは話を始めました。

「先日防大へ行った時、トンビがいっぱい飛んでいていつもの感じだなと見ていたら、江の島で立て看板にトンビに注意と書いてあったのを思い出したんです。なんでトンビが危険なのかなと不思議に思っていると、正面から、仕事の関係者が来たので挨拶してから、名刺交換のため、キラキラ光るガラスの飾りがついている名刺入れを出したんです。その瞬間にトンビが音もなく来て、アッと気づいた時名刺入れをさらって行ったんですよ」

「名刺入れはどうしましたか」と聞くと、「落し物の申請をする時、係の人にトンビにさらわれましたというのが恥ずかしかった~」と返ってきました。

 

 

いつもレーダーを回す癖

 

そんな話をして、焼き立てパンを二人で楽しみながらも、私は上空高く一羽のトンビがいるのを確認して、トンビの位置を常に意識していました。少し近づいたかな、離れたなという感じでロックしていました。自然の中にいると、いつの間にか働いています。

陸上自衛隊の演習場で訓練は、1週間ほど自然の中で生活し、敵が近づくのをいつも警戒しながら過ごします。若い時は、寒いと落ち葉を身体にかけて寝たりしていました。

自然の中で長年生活していると、身体の中にレーダーができます。レーダーとはこんな感じです。仮眠をしている時、何かの気配か音で眼は醒めないが、意識が開きます。

それぞれの経路に警戒員を配置しているので、東の気配は、なんだと意識が確認をします。警戒員の交代だなと理解するとそのまま、また眠りに落ちます。

また、意識が開いた時、この方向は警戒員はいないはずなので、何かが近づいているなと判断し、素早く通信機で対処の指示を出したりしました。

この意識が開くというレーダーが探知する距離は、調子のいい時は50メートルぐらいあったと思います。

トンビに名刺入れをさらわれた話をしていたせいか、自然にトンビを身体の中にあるレーダーでロックしていました。

 

 

ハンターの勝負は一瞬で終わる

 

厚切りのベーコンの入った焼き立てパンは、二人のお気に入りで、上機嫌で味わいながら、江の島に方を見ながら、あそこが葉山だねと説明しても、家内がなかなか確認できないようなので、右手で方向を示して何とか確認できるように気持ちを集中した時でした、「バサッ」という音と一瞬の気配と軽い風を感じるとともに、左手に引っかかれた痛みを感じました。

左手に持っていた、あのお気に入りの厚切りベーコンパンを家内と私の直径35センチの円程度の隙間を通ってトンビがかっさらっていったのでした。

完全に気配が消えていて、気配を感じたのはパンを取った一瞬だけでした。

こんな感じで、狩りをするんだと実感しました。ずーとロックしていたトンビですが、家内との話に集中してしまいレーダーが切れているところを完全にやられました。

気が付いた時は死ぬ時でもあるなと戦闘のイメージと重なりました。

 

 

再戦はない

 

パンをさらわれてから、家内が来た時は、ベーコン入りのパンを買って同じ場所でリベンジを狙いましたが、再戦はなりませんでした。

「次は勝つ」と言うと、家内は「あの時勝負がついてあなたはやられたでしょ。次はないのよ。」、「トンビにやられないようにレーダーが錆びないようにしておかないとね」とニコニコ話します。

この時から、ピーヒョロロ~とトンビの鳴き声を聞くと必ず家内が、あなたは気配を消すとか、水面に移る月のようにとか言っている割には簡単にやられてしまうものね。といつも会話が盛り上がります。

 

≪次のブログも参考にしてお楽しみください≫
 

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気配を感じることはできるのか -水面にうつる月のごとく-

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