昭和25年8月6日廣島原爆投下を伝える新聞記事は何を語るか

昭和25年8月6日廣島原爆投下を伝える新聞記事は何を語るか

 

 

2日遅れで原爆投下を伝える新聞

 

昭和20年8月6日廣島市(広島市)は、敵B29少数機の攻撃を受け相当の被害が生じたことを大本営は、8月7日15時卅分(十を三つ合わせた意味で、三十を表します)に発表し、原爆投下の2日後の8月8日の讀賣報知新聞が一面で伝えました。新型爆弾は落下傘がついており落下中爆発したとして詳細はわからないと書かれています。
新型爆弾は、調査を進め近く判明するはずであるが、軽視は禁物であるとしています。

この新聞は、家内の実家の桐ダンスを整理していた時に見つかったもので、着物の確認よりも、当時の新聞に皆釘付けになりました。

当時の新聞から、日本の状況を確認します。

 

 

英国の航空機も銃爆撃に初参加を一面で伝える

 

 

B29、1機に誘導された硫黄島基地のP51(当時ゼロ戦では既に性能的に歯が立たない戦闘機)40機は、7日廿分ごろ(十が二つで二十)伊豆半島から侵入し、京浜西南地域の軍事施設と市街地へ銃爆撃を行い11時卅分相模湾より離脱した。

この時、英国軍機(機種不明機)が参加していたことは注目に値すると記されています。

各地の爆撃の情報は、電話により入手され新聞で報道されています。

千葉からの電話情報では、漁船を銃撃、民家を掃射したこと、横浜からの電話情報では、1機又は5~6機の編隊に分かれて軍事施設、交通機関、農村、市街地を無差別銃撃したことを伝えています。

 
昭和20年8月8日に発行された讀賣報知新聞
 

 

新型爆弾により、国民を殺傷する人道無視の残虐性をいよいよ露骨に表したことは、敵が対日戦の前途を焦慮しているあかしであると書かれています。

新聞記事は、文章の終わりの句点「。」がなく、読点「、」を40~50文字に一回程度使用して書かれています。読みにくそうに感じますが、形容詞がほとんど無く、端的に内容を表現しているため、返って読みやすく理解しやすい感じがします。

敵米国は、日頃キリスト教を心棒する人道主義を唱えているのに、この非人道的な残虐をしたことによって、未来永劫「人道の敵」の烙印を押され、日本は正義において既に勝ったというべきである。と原爆投下を強く非難しています。

新型爆弾は、引き続き使用されることが予想されるため、対策を早急に進めることが絶対に必要である。としています。

引き続き、防空壕、横穴建設、防空態勢の強化、疎開を進めるとともに、少数のB29でも新型爆弾を投下する可能性があるため、注意を要するように示しています。

この心理的衝撃の大きい新型爆弾の使用後、米国による宣伝工作が活発になることが予想されるが、今迄の戦史において、新兵器への対策手段が生まれなかったことはないので、憂慮することはないと伝えています。

左隣には、東印度独立へと新型爆弾と同じ文字の大きさで書かれています。

日々、ワイドショーやニュースでスキャンダルや事件が流れ、国の方向について語られることはありません。
安全保障についても、考えなければならないことですが、考えようとしていない現実があります。
少子高齢化、ICT化が進展し、中流国が力を付けてくる世界で、どのような日本にするのか、国の将来について、メディアを含め日本全体で考えなければならない時期がきているのではないでしょうか。

 

 

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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
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オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

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5 Comments

  1. 皇紀2677

    こんにちは。いつも楽しくに読ませていただいております。たいへん興味深い新聞ですね。無意識的にタンスの中に入れたのでしょうか?何か意図的にタンスの中に入れたのでしょうか? 

    現在、テロや風水害等がどこで起きてもおかしくない時代です。政府、各官公庁はあらゆる面で準備が必要だと感じています。特に、陸、海、空自衛隊は組織的に大きく、有事の際には真価が問われます。陸、海、空自衛隊は日本代表組織(国内では軍隊ではありませんが世界的には軍隊です。)として組織的に連携して戦うことができますか?
    現役の自衛官は備えること、即ち、訓練して戦えるようになることが任務と言えます。futamiryuのブログでもありましたが、真の訓練を追求し続ける必要が絶対的に有ます。

    先ずは、隊員個々の能力を上げないと組織的に戦えません、銃もまともに取り扱えない状態です、統制や縛りは必要最小限にすべきです。陸自高幹の方々は「対上陸作戦を重視」として防御(穴掘り)の事だけしか考えておりません。確かに防御(穴掘り)訓練は必要ですが、まあ、10年に一回でいいのではないでしょうか?それとも、何か『ミエナイチカラ』が働いて、自衛官が戦えるようになることを恐れている人や組織があるのでしょうか?予算やその他の理由がると思いますが。それとも、実戦闘をイメージできないのか?下階級の考える訓練を行うとプライドが傷つくのか?面倒くさいのか?教範が無いと動けないのか?その他の理由があるはずです。

    1. futamiryu

      コメントありがとうございます。
      新聞は、たまたま箪笥の下に引いていたものが発見され、昭和25年のアトランダムの月日の日経新聞や朝日新聞もありました。

      陸自は、重点を西へシフトし、新たな装備を導入しています。
      国際貢献活動も他の国と同様に行わなければならない時代になりました。

      米軍のように、イラクに展開している戦闘部隊が次の部隊と交代するため、本土に戻ってきた時点で、戦術・戦法の見直しと改良を行い、その結果を本土に待機している部隊の訓練に反映します。
      その訓練を積んだ部隊が、次のイラクへの交代部隊として送られました。

      実戦を続けている米軍の装備やコンバットメディックの改良、戦術・戦法の改善を行い、実戦に強い部隊を作っています。

      学ぶべきところが多いと思います。良い面は、吸収していくことが必要です。

  2. 皇紀2677

    ありがとうございます。 新聞はたまたまだったんですね。 自衛隊は良いところを学び改善し続ける強さが必要ですね。

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