長距離走、フルマラソンでは、後半調子が上がるようなラッキーな状態はほとんどなく、先行逃げ切りや途中からの飛び出したメンバーについていくため、ペースを維持するのが難しく、苦しくなることが常態です。
足が動かなくなりそうだったり、息が上がりそうになったり、意思が崩れた瞬間、集団から離脱していきます。
そのため、あの50メートル先の電信柱まで頑張ろうという目標を立て頑張り、電信柱まで来たら、あの赤い屋根の家まで頑張ろうと、近くて達成できそうな目標を立てて、一つ一つ積み上げていくような目標の設定要領があります。
多くの組織では、人事評価のため、今年度の業務において具体的な数値を設定した自己の目標を記述し、年度の中間点で達成状況を評価判定して、年度末までに目標を達成できるように業務の修正をしたり、上司が指導する資料にしたりします。
目標を低く設定すれば、達成度100%をクリアできるので、人材育成としての目標設定なのか、人事評価対処の目標設定なのか、組織としての目的を失わないようにすることが特に、重要となります。
近くの目標を設定して一つ一つクリアすることは何かを達成する方法としていいと思いますが、踏ん張って進める手法という感じもします。
あまりに漠然とした目標も現実味がなく効果がない感じがします。人事評価の目標は達成できるような手の届く程度の目標設定をしがちです。
個人や組織を管理するための目標設定は重要ですが、目標を設定すれば個人や組織を管理できると短絡的に考えるようになったら、返って余計な仕事が増えるだけです。そもそも目標管理は必要なのかという疑問が生じます。
アメリカから来日して、40連隊へガンハンドリングを教えて頂いているインストラクターに、訓練の話を聞いたり、実弾の特性を聞いたりしているうちに、若い隊員の育成の話になりました。
インストラクターは、高い価値観を持つことが重要であり、高い価値観が、高い吸収力と定着度を生み人間を成長させると話してくれました。目標の置き方について質問をすると、インストラクターの考えを聞くことができました。
「futamiryu(著者)、近くの目標をクリアしていく設定の仕方は、しっかりした方向を維持することが難しく、近くの目標をクリアしているうちに、いつの間にか違う方向へ少しずつズレていき、気が付いたらいつの間にか方向が狂ってしまい、自分の考えていたことや行きたい方向から大きく外れてしまうものです」と話して、ミネラルウォーターを一口飲みました。
続けて、「真っ暗な空間で遠くに見える光を目標に置けば、光を目指すことにより正しい方向へ進んでいくことができます。途中崖を迂回して方向が変わっても、遠くの光の方向へ進めば、正しい方向へ修正することができます。どんなに遠周りをして曲がっても必ず目標へ進むことができる真っ暗の中に輝く遠くの光を目標にすることが大切です」と話してくれました。
真っ暗な闇の中の遠くに輝く光という目標を何にするかを決めることは難しいことです。
しかし、この光を決めることが一番重要であり、ブレなく進むことができるようになります。どのような人間になりたいのか、何をしたいのか、具体的に自分の最終的な姿をイメージして、日々過ごしていくことが大切です。こんな人生は素晴らしいのではないかと思います。
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