戦闘は、厳しい状況と疲労の中、頭をクリアーにして常に冷静な判断と自己コントロールをしていきます。我慢ができなくなった方が、ボロや弱点を晒してしまい必ずやられます。常に周囲へ危険を感じるレーダーを回し続け、集中できる精神的な強さと我慢強さが必要となります。
体力面は、重量物を背負って歩き続けてもへこたれない身体を作るため、「虎の穴」で背筋と腹筋を徹底的に鍛えました。体力が向上すると、精神的な強さと我慢強さが併せて強化されることがわかりました。
コーヒーを一口飲むのにカップを持って、一口飲んでカップを置くまでの間を5分かけてやれるような、ゆったりと小さく滑らかな動きを行い、集中力と我慢強さを身に付けることも日常生活の中に取り入れながら隊員は強くなっていきました。
敵に見つからないように、背景に溶け込み見えないような動き続けながら、敵を見つける行動をお互いにします。
一寸した隙や基礎動作を行わなかったミス、雑な行動をすると砲迫射撃や直射火力が指向され、やられます。
静かな時間がずーと続き、数秒~数分の砲撃か、射撃により戦闘が終了します。
射撃レベルや戦闘レベルが高ければ、より短い時間で仕留められます。敵を倒せる場所と機会を求めて、お互いに射撃のための位置取りの動きと見つからない動きを延々と行います。
我慢できなくなったり、双眼鏡に当たった太陽光の一瞬の反射や不自然な音、煙草の火と臭い、稜線に身体を出した不用意な動きから、部隊の全体の動きを捉えて射撃チャンスを作ります。
目的を達成すると、すぐに移動を始め、次の優位な位置取りをとるための行動を開始します。現場付近に滞在する時間は最小限にして動きを見えないようにします。
敵部隊の情報は、斥候により収集します。
普通科連隊では、情報小隊が敵の奥深くまで潜入して情報を獲得します。前面の敵については、中隊の斥候が情報を収集して、敵部隊の配置や動きを掴み、攻撃を組み立てていきます。
情報がなければ、砲迫射撃も何処へ撃ったらこといいのかわからず、反対に敵に自分達の情報を収集されていた場合は、火力を指向されてしまいます。
情報を獲得することは、敵を撃破するため必要不可欠なものであり、単なる情報と捉えないで敵を撃破するための戦闘力と同じ価値と捉える必要があります。
情報の捉え方、情報の重要性に関する認識の差によって、戦闘結果が大きく変化します。情報を収集する斥候と隊員の情報収集能力の向上は、戦闘に勝つため条件となります。
隊員全員が、自分の位置と敵の位置を正確に把握して砲撃を要求できる訓練を行いました。
この訓練は、全隊員が偵察要員となること、全隊員が砲迫射撃を要求することができること(通常はFOといって限られた他人員が行います)、全隊員が通信機を使えることを可能にするものです。損害が出たり戦力が少なくなっても、通常3人分の機能を一人でどれでもできるので、粘り強い戦いもできます。
※「敵に見えない動きを追求する」、「任務を達成して生き残れる人の考え方と準備の仕方」、「戦いの中でやられないで生き残る人の行動から学ぶ」を参照するとよくわかります。
3人分の機能を一人でできるように連隊全員を訓練するので、訓練量は通常の3倍必要となります。訓練レベルに差が出てくると、進展度合いによって訓練内容を変えていかなければならないので、更に訓練の企画実施も手間がかかります。
朝から晩まで厳しく休憩のない訓練を続けていると、3人分ではなく、2人分にしたらどうかという声が出てくるのに対して、「2人分できる部隊と3人分でき更にスナイパーができる部隊ではどちらが強いのか?」と問いかけると、「3人プラスアルファーです」と答えるので、「では、続けよう」と言って皆で頑張りました。
この時、効率かつ効果的な訓練を実施する方法を中隊長や幹部、陸曹の意見をもとに、やり方を大きく変え、更にチームワークを向上させる方法を見つけ出しました。
自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
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