カモフラージュ(スカウトのスト―キング)

カモフラージュ(スカウトのスト―キング)

 

 

カモフラージュ

 

敵に見つからないように、昔から偽装網という網を身体にかぶせて、その網を使って切り取ってきた草を固定し、背中や肩を草で覆って周りに同化することを偽装といい、陸上自衛官全員が戦闘訓練で教え込まれてきました。

いつも感じる疑問は、移動する度に枯れてきた草が落ちて道路に散らばったり、動くとガサガサ音がしてしまったり、自然界に草が上下運動することがないのに、歩くたびに上下に動くのを見て、果たしてこれが正しいのかと疑問に思っていました。インディアンの狩りの技術を教えてくれるあの人が小倉に来るので確認することにしました。

 

 

どうして草を付けるのですか

 

まず始めに、あの人は、「何故草を付けるのですか」と言いました。自分達は、痕跡から人数を割り出し、装具を持っているのか。右利きなのか、左利きなのかを読み取ることができます。

草が落ちていることは、トラッキング(痕跡を追って追尾する技術)を確実にされるので即座に危険な状態になります。意味がないというよりも危険であると言います。

音が出るのは致命的であり、自然界にない上下運動は確実に捕捉されると話してくれました。「動かないでいるなら、草を付けた偽装は有効ではないですか」と聞くと、付けないよりはましですねと返ってきました。

 

 

視点を変えて下さい

 

顔と目の白い部分、明るすぎる陸上自衛隊の戦闘服、頭と肩の輪郭、黒い靴、銃の光沢を処理しなければなりません。

靴は、偽装をしていてもとても目立つのでスプレーを使って暗い迷彩柄にして、ボンドで動物の毛を付ける必要があるとあの人は言います。

輪郭をぼやかすために戦闘服全体の処置をしなければならないのと、顔のペインティングは、ある色一色で土を吹きかけ表面をでこぼこにしなければならない等、実際に展示しながら説明を受けました。ゾクッとするほど自然に溶け込み見えなくなります。

 

 

撃って下さいという歩き方を変えて下さい

 

身体のカモフラージュばかり考えていますが、歩く時のカモフラージュを考えていますか?と質問されました。

もの影を使って前進したり、道路上を歩かないようにしていることを説明すると、敵からどのように見えるかを常に考えて歩く位置を選んで下さいと言われました。

自分の視点で物事を考えて行動することは危険です。自分はちゃんとやっていると思っても、敵から見えれば数秒で頭に撃ち込まれます。

敵から見た時に周りの景色に溶け込んでいるか、必ず自分の後ろの背景を確認して歩いて下さい。皆さんが、何時如何なる時もこの行動をすれば格段に生き残ることができます。と話してくれました。

 

 

トイレはどうするのですか

 

どこか物陰で用を足しますと答えると、トラッキングのできる敵兵がいれば、匂いを嗅ぎつけて、痕跡から人員数、装備の状態、行動を読み解き、追跡をしながら本隊と連携し攻撃したり、襲撃を受ける可能性が高くなります。

敵の偵察要員は、この程度の能力があると常に考えて行動しないと、帰ってこない人員が増加します。ちゃんと処置をして下さい。と話してくれました。

 

 

生き残るにはどうすればいいのか

 

あの人は、「不安定の安定化です」と答えました。処置をしていない所からほころびが出てきます。不安や不安定なことがあったら、確実に大丈夫であるという処置をして下さいと話して、帰って行きました。

 
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
 読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

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