人事制度と評価について、陸上自衛隊の勤務を通じて感じたことや経験を紹介いたします。参考にして頂ければ幸いです。
異動のほとんどない組織では、管理職に嫌われると勤務がしづらくなり、何らかのマイナスのレッテルを張られてしまうと経歴に傷がつく可能性が大です。
馬の合わない管理職と長い間一緒に勤務しなければならない日々は、辛いものがあります。さらに、管理職は、次に昇任させるのは誰にするかについて権限を有します。移動のない組織では、管理職の権限はさらに強くなります。目を付けられたり、気に食わない人物だと捉えられると将来は閉ざされてしまいます。
このような状態を代々続けていくことによって、その組織独特の文化が出来上がり、個人商店化が浸透して根を張り、組織の活力を失いながら守りの組織に変わっていきます。
守りの組織では、コンフォートゾーン化が進み、今の組織と環境を変えないようにすることが重要事項となります。
これが利権を守る核になります。核を守るために表面に表れないように各種寝技を繰り広げます。
このような動きは、特に、地方や目の届いていない組織に根を張ります。組織の長は、適性に人を評価する意思と能力、実行が必要となります。
人事評価のできない、もしくは能力の低いタイプは、「好きか嫌いか」、「したいか、したくないか」の判断基準で人事と業務を進めていきます。
このタイプは、人間自体に興味がなく、好きではないので、部下に関心を持つこともなく、成長させようとする意思がありません。
人材育成のできない管理職は、部下に成長する機会を与えず、自分のために部下を使い古してしまっても、仕方がない程度にしか思いません。
組織の発展のために、いい人材を作ろうという意思がないからです。当然、部下は、このような上司に対して信頼感と安心感を持つことはありません。
部下に関心を持ち、部下を成長させようとする意思があり、組織を発展させる意欲のあるタイプは、「組織の要求」と「個人の要求」のバランスを取りながら人事評価のできる管理職に適した人材です。
部・課長を定期的に人事異動することによって、新たな上司と部下、お客様をはじめとするビジネス環境が全く変わります。一つの凝り固まっていた考えや感覚も新たな環境の中で改善・発展していきます。
マネジメント主体の管理職を異動している間に、部・課におけるお客様のローテーション、複数担当の設定を進めていくことによって、担当者の異動が可能となります。
担当者の異動がローテーションで可能になった時点が、組織、人、意識が変わり新たな組織へ成長した状態です。
人材を育成するための人事異動によって個人の能力と組織力が向上し、厳しい環境の中で生き抜き発展するための基盤ができ上がります。
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そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。