『40連隊に戦闘技術の負けはない』を追求していた当時、対抗戦で是非とも本気モードの戦闘を行いたいと思っていた部隊がいました。
その部隊とは、『陸上自衛隊富士トレーニングセンターの対抗部隊(FTC)』です。当時、FTCは、部隊編成以来、全国の普通科連隊から送り込まれてくる増強普通科中隊をことごとく壊滅状態にしていた無敗の部隊だったからです。
さらに、FTCは、実戦的な訓練を繰り返し行うことによって進化し続けていました。
40連隊がFTCとの戦いに勝利するためには、火力によって損耗を与えて防御組織を弱体化すること、FTCの指揮統制システムを機能不全にすることが必要不可欠だと考えました。
そのための戦法を完成させるには時間を要するため、CQB・スカウトのレベルの向上を進めながら、戦法を同時進行で作り上げていきました。
その中心となって活躍してきた中隊長は、第1中隊長の馬場3佐でした。私は、彼をFTCに参加する増強普通科中隊長としてFTCへ送り込むことにしました。
確実に目的を達成するタイプの馬場中隊長は、FTCの常とう手段、得意な戦法を無力化するか、あるいは封じ込め、有利な態勢を確保してFTCを撃破できる中隊長です。
彼の指揮する増強普通科中隊は、連隊内最強の隊員を選抜して編成した部隊です。その最強の部隊を、勝利を確信できるレベルまで徹底的に鍛え上げました。
そして、満を持してFTCとの戦闘のために北富士演習場へ乗り込みました。
予想通り、40連隊 vs 無敗部隊(FTC)との戦闘は、し烈な戦いになりました。『技のかけ合いになり、受けと反撃の連続になること』、『集中力と心の安定を欠いたら崩されること』の繰り返しとなりました。
『40連隊 vs 無敗部隊(FTC)との戦い』をお楽しみください。
『40連隊』シリーズは、実戦に威力を発揮するために40連隊が追求してきたことについて記述してきました。
私は、各部隊が自衛隊最強の部隊になる可能性があると考えています。部隊・隊員の意識が変わり、行動が変われば、どの部隊も実戦に強い部隊が育成できると思うからです。
『40連隊』シリーズのもう1つの側面は、現在の自衛隊に対する応援の気持ちを込めて書いたものです。本書が、最強の部隊追求に役立てて頂ければ幸甚です。
弾丸が変える現代の戦い方: 進化する世界の歩兵装備と自衛隊個人装備の現在