新潮新書の担当の方からメールが来たのは、2019年の3月でした。折しも、『自衛隊最強の部隊へ-CQB・ガンハンドリング編』を出版し、市街地戦闘訓練について話題になっていた時でした。
メールには、新潮新書で『市街地戦』について、出版しませんかという誘いでした。返信すると、すぐに打合せをしましょうということになりました。
4月ホテルのラウンジで早速2人で目次の構成を話し合いました。書きたいことと、書いてほしい内容をすり合わせ、内容の擦り合わせを1か月間行い。章立てが完成すると、早速文章の作成開始です。
いつまでに文章を仕上げればいいかわからないまま、1つの章ができた時点で担当の人へデータを送り、内容と文章を確認してもらいます。ミリタリー用語や装備の確認や、背景事項の質問があります。
文章は、まずストレスなく読めるようにしてから、内容を分かりやすいようにしていきます。今まで文章を書いてきて、わかりやすいように表現していると思っていましたが、ミリタリーに普段馴染みのない人に読んで理解して頂くには、まだまだ分かりにくい表現が多かったことを改めて認識しました。
ここで感じたことは、自衛隊出身者が書いたものは、なかなか多くの人に読んでもらえない一つの要因は、わかりにくいこと、内部のメンバーには通じるように書いている傾向があるからだなということを実感しました。
新潮新書の書籍の作成は、半端ない熱意と書籍が最上級の仕上がるまであくなき追及していく姿勢を感じました。
文章には、人それぞれの癖や特性があります。そのそれぞれの作者の文章の持っている「味」を消したり、弱めることなく、読みやすくスーっと入っていくように作者と担当者が二人三脚で文章を作成していきます。そのため、自分の書いた文章がほぼそのままか、わずかな修正により絶妙な感じで磨かれていきました。
編集長に何度も読んで頂き、文章がさらに磨かれ、日本酒の純米大吟醸酒のように仕上がっていきました。この間も何度も何度もやり取りを行いました。いつの間にか、全体の文章が出来上がったのは、2020年の5月になっていました。
文章が出来上がると、本格的な校正が開始されます。何回も行います。
これだけ磨いたはずの文章が、鉛筆での文章の修正部分や内容確認で紙面が黒く感じるほど、書き込みがなされるのに驚きました。校正の考え方は、作者の文章をより良くするお手伝いをするということに徹していています。
表現の仕方も、作者の判断を最終的には全て採用される徹底ぶりでした。あくなき追及とはこういう仕事かと返って学ばせて頂きました。
出版まで、1年4か月かかりました。出版までの期間は、私にとって忘れることのできない充実した時間となりました。このような機会を作って頂いた新潮新書の方々に感謝致します。
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