二見連隊長の日常「たたかい編」

二見連隊長の日常「たたかい編」

 

 

数が多い方が偉いと思っていました

 

 40連隊長を拝命して北九州市小倉駐屯地で勤務をしていた時、創立記念行事や夏祭りなどの行事では多くの人たちと触れ合う機会があります。最初は緊張していた地域の人たちも、打ち解けてくると日頃純粋に疑問として感じていることを室民されます。

 思った以上に多い質問は、「階級がよくわからないので教えて下さい」という内容でした。

 当初、階級がどのようになっているか知らないで自衛隊を支援している、そういう人もいるのだろうなと感じていたのですが、多くの人に会えば会うほど、「階級がよくわからないので教えて下さい」という質問が多くなるため、多くの人たちに自衛隊は十分理解されていないのではないかと感じるようになりました。

 階級の呼び方を説明するとまず返ってくる言葉は、「1尉、2尉、3尉だと数字の多い3尉の方が偉いと思っていました」 そして、「大尉、中尉、少尉では何故いけないのですか」、「わかりやすく大尉、中尉、少尉にすればいいのではないでしょうか」という内容がほとんどでした。
 
 また、「訓練は匍匐(ほふく)をして大変なんですよね」と第4匍匐の動きをして話す人が多かったり、「富士山のふもとで毎年行われる火力演習凄いですね」というように、自衛隊の訓練について「匍匐」と「富士総合火力演習」が認識されているものの、どのような訓練をしているのか、ほとんど理解されていない状態です。

 

 

伝えやすいところに伝えることから次の段階へ

 

 自衛隊は、自衛隊ファン、自衛隊協力者には積極的にPRをしてきて、コアな理解者を確実に押さえてきましたが、伝えやすく受け入れてもらえる人たちへのPRを繰り返すだけで、大きな変化はありませんでした。

 東日本大震災での自衛隊の活動によって、多くの人が自衛隊を認識し、災害発生時に頼りになる組織であるという捉え方をするようになりました。自衛隊の災害派遣は、年々大規模、迅速に行われるようになり、災害の時に頼もしい組織というイメージが定着しました。

 では、日本を防衛する「武装集団」として認識され、受け入れられているかというと、まだ不十分であると思います。軍事技術の進歩により陸上、海上、航空の戦闘が同時に発生する可能性もあります。
 さらに、専守防衛となれば、非常に難しい戦闘を余儀なくされます。国土戦は避けることは難しいといえます。しかし、部隊を配置しても、弾薬を置くことが許されないような状態では、国全体の支援を得て戦う国土戦の意味は、まったくありません。
 
 伝えやすいところから、真の自衛隊を今まで伝えることができなかった人たちに伝えていく時期が来ているといえます。本書がその一助となれば幸甚です。

 

 

 

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