二見氏との出会いは、今から十七年ほど前の夏であった。今回私の自衛隊勤務の中で最も思い出の深い、二見連隊長から寄稿の機会を頂いたことに感謝申し上げる。
これは彼が、連隊長として小倉に着任された日から、離任されるまでの約ニ年半に及ぶ様々なエピソードをまとめたものである。
本題に入る前に少し当時の私自身について触れてみたい。平成四年三月、入隊から十二年半に及ぶ北海道勤務を終え、郷里の九州小倉へ、平成九年から連隊広報室勤務となり、同十四年からは広報紙の担当となっていた私は、良き同僚に恵まれとても充実した日々を送っていた。指揮官の交代時には広報担当者として、すでに何度か携わっていたが、「次は、どんな連隊長が来られるのだろう」といつも不安になっていた。
だが、この時ばかりはいつもと様子が違い、カメラのレンズを通して見る彼の眼は、澄み渡り、厳しさの中にも、聡明さと自信が漲り、何処となく優しい兄貴のような感覚を覚えたように記憶している。私のことはさておき、そろそろ本題に入ろう。
第二十一代第四十普通科連隊長兼ねて第二十五代小倉駐屯地指令として着任した彼の着任式は、平成十五年八月四日、第四師団長江藤陸将立会の下、副連隊長廣瀬二佐以下連隊全隊員が営庭に整列し厳粛な中での式となった。
要望事項に「前進」を掲げ、第一に、連隊が将来に飛躍するためには伝統に加え、将来に対する先見性と投資が必要であり、この二つの調和があってこそ整斉たる将来への対応が可能になると考える。
従って旧弊に固執することなく新たなものへ挑戦する意識と勇気が必要である。自分がその先頭に立つこと。
第二に、要望事項の「前進」について、何が起こってもおかしくない情勢の中、付与された任務に対して即応し、実効性ある対処をするためには、積極性、創造性、実行力が重要であり、各種戦闘・戦技能力を保有した、強く団結力のある小部隊が必要不可欠となる。
このため「自分がやらなければ誰がやる」「今何ができるのか」、自分を含め隊員ひとりひとりが考え実行することが求められる。
このような意識を持った隊員で構成された連隊は、通常の二倍三倍の能力を発揮する強い部隊となる。
やるという意思を保持して常に前に進んでいくことが、要望事項の「前進」である。と述べて着任の辞とした。
私はこの時、これからの連隊(自衛隊)は大きく変わる予感がした。
以上です。
ここから、駐屯地広報室員のレポートが始まります。
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